教育新聞では、全国教育研究所連盟(国立教育政策研究所内)の編集協力を得て、新たに「チャレンジ初任者研修」の紙面を4月からスタートします。毎月1回掲載する予定です。
この紙面では、初任者研修に参加する新任教員とその指導教官に役立つ内容を多数掲載します。具体的には、教科指導、学級経営、研修への取り組み方などで構成し、新任教員および指導者を応援していきます。
【紙面の一部を紹介します(4月26日付)】
教育センターのプロが教える授業のイロハ
今回のテーマ 板書・教室掲示平井佳江・横浜市教育センター指導主事
■黒板をあらゆる場所から見る□
板書の話を始める前に、教室のいちばん後ろの席から黒板を見てみよう。また、いちばん前の両端の席から黒板を見てみよう。後ろから見ると字の大きさや色遣いの大切さに気づくし、斜めに黒板を見ると

光の反射の影響が理解できる。チョークの持ち方、色チョークの使い方など、ベテランの技術を観察してまねをしてもらいたい。
みなさんは板書計画を立てているだろうか。板書計画は、本時の展開の詳細な計画である。
1時間の授業のねらいを子どもとともに確認し、そのねらいが学級のみんなの力でどんなプロセスを経て成就されたかを視覚的に理解できるようにするのが、板書の役目である。
■板書計画が授業の精度を上げる□
板書計画は、教師の投げかけに対しての子どもの反応まで予測しなければ立てられない。つまり、板書計画を練ることは、授業の精度を高めることにつながる。
初歩的な板書の方法を整理しよう。最初に子どもとともに確認した学習のめあてを書く。学習計画の段階ですでに共有されている場合は、フラッシュカード(画用紙などにマジックであらかじめ書いたカード)を用意しておいてもよい。
そして、主となる発問や指示の内容に従って、子どもの発言を短い言葉でまとめていく。そのときに子どもの発言すべてを板書していくのではなく、類似したものは「○○さんの意見と同じだね」「似ているね」としっかりと受け止めてまとめていくことが大切である。
また、補助的な発問を加えながら、子どもの意見をカテゴリーに分けて、タイトルをつけていくことも有効である。視覚的に何が同じで、何が違うのかを、瞬時にとらえられるようにすることが基本である。
■展開に沿って発言を構造化□
1時間の子どもの思考の流れが、時間を追っていくものか、ある1つの結論に向かって収束していくものか、またはたくさんのアイデアを生み出すものかなどによって、黒板の使い方は違ってくる。
時系列であれば、縦書きの場合、黒板に向かって右から左へ進んでいくだろうし、2つの違ったものから共通点を見いだすのならば、結論を真ん中に書くなどの工夫もできる。
つまり、板書は、授業の展開に沿って子どもの発言を構造化し、子どもにフィードバックするための大切なツールである。そして、子どもが導き出した結論を、教師は大切に価値づける必要がある。
■学びを共有する温かい教室に□
教室掲示には、子どもたちの学びの足跡を残したい。作品を掲示するばかりではなく、学級で取り組んだ問題解決の過程を、子どもの言葉や写真を中心に、できるだけ構造的に表したい。
学級として学びを共有し、協働の物語を創り出し、子どもはその物語の大切な1ページとなった自分を自己有用感をもって見つめ直すのである。
子どもたちが学びを共有する温かい教室に、子どもの言葉で綴られた学級の物語が掲示されている。そんな教室経営を目指したい。
指導教官とはこう付き合おう
効果のある指導の受け止め方
初任者研修では、ベテランの教員が指導教員を務めるが、この指導教員からできるだけ多くを学ぶことが重要となる。そこで、初任者研修をより一層効果的なものにするため、指導教員の経験があるベテラン教員の方々から話を聞き、「指導教員からの指導の受け方、受け止め方、相談」のポイントをまとめた。
◇社会人としてのマナーをもって◇
初任者研修における校内研修では、週10時間以上、年間300時間以上を指導教員の指導のもと、教員に必要な素養や授業方法などに関する研修を行うことになる。
指導教員は、職場の先輩である。まずは指導教員に対して敬意を払い、社会人としてマナーと礼儀をもって接することが必要だ。接し方のポイントを表にまとめておいたので、参考にされたい。
◇自分から積極的に教えを請う◇
指導教員にもいろいろなタイプがある。例えば、次のようなタイプである。
A「任せるから、自分で考えてやってごらん」
B「必ず、私に伝えてから計画、実践してください」
どのタイプの指導教員に当たるかはわからない。いずれにせよ、大切なのは、自分からアクションを起こすということ。聞いたのに教えてくれないという人はいないし、誰でも頼りにされるということはうれしいものなので、積極的に質問するようにしよう。
だからといって、やみくもに聞くというのはよくない。子どもたちのためになるという視点をもって、まずは自分で考えてみることが大切である。
◇指導を素直に受け止める◇
新任教員には、大きな理想、夢があるはず。例えば「子どもたち一人ひとりの個性を伸ばしたい」「自由に語り合えるクラスをつくりたい」などである。
しかし、個性とは何だろうか。どのようにすれば伸ばせるのだろうか。また、自由とは何か。どのようにすれば自由に語り合えるクラスができていくのだろうか。
それを知っているのがキャリアを積んだ先輩教員である。指導教員に言われたことがすべてではないが、まずは「なるほど」と思うことは大事だ。
そして、指導を受けた様々なことから、自分に何ができるかを考えることが初任者にとって大切なことである。それが、自分の理想や夢に近づく第一歩となるはずである。
◇まね、そしてオリジナルへ◇
「まねぶ」という言葉をよく聞く。「学ぶ」は、まねをするところから始まるという。
指導教員や同僚のベテラン教員の授業を見て、すばらしさに感動して、そのまねをしたいと考えることは当然のことである。
いいものはいいわけで、それを積極的にまねて、取り入れることによって、子どもたちの意欲を高めることができたり、学力がアップしたり、生活が円滑に流れたりすることにつながっていく。指導教員や先輩から様々なことを見聞きし、よいものを「まね」ていくことが大事である。
一方、「オリジナル」の指導観をもち、自分流の指導をしていくことも重要だ。自分なりに「まね」たことをアレンジしたり、子どもの実態に合わせながら改善していく。はじめから「自分流」であっても構わない。重要なのは、信念をもち継続してやり続けることである。
◇相性が悪くても謙虚に聞く◇
初任者が一番心配することは、指導教員との相性であろう。全員が、本当に尊敬できる指導教員とめぐり合えるわけではない。しかし、1年間、共に仕事を進めていく上司となるわけであるから、なるべく多くを謙虚に受け止めていく必要がある。
どうしても行き詰まってしまった場合は、どうするか。校長や教頭(副校長)に相談したり、他の信頼できる教員に相談しよう。ネットワークを広げて、多くの教員から様々なことを吸収することが望ましい。
◇「ほう・れん・そう」を確実に◇
「何かあったらすぐ報告、連絡、相談」。これは守ろう。指導教員や校長、教頭(副校長)への報告や連絡が遅れることのないようにしたい。学校現場では、ささいなことでも多くの人間の力で解決することが望ましいのである。
ベテランの教員でも、先輩教員や若い教員に相談をして、一つ一つ物事を進めたり課題を解決していくことが、教員の日常である。
また、相談は、指導教官を第一優先にし、そこから、さらに相談相手を広げていくとよい。
◇プラス思考で物事を考える◇
初任者なので、はじめからすべてがうまくできないのは当然である。授業や学級経営など日々の教育活動の中で、うまくいかないどころか失敗をしてしまうこともあるだろう。
研究授業を失敗してしまったり、保護者のクレームに往生してしまうこともあるだろう。しかし、初任者は落ち込まないことが何よりも大切である。何事もプラス思考で初任者研修を乗り切ることである。