大学入試の提言を読む 英語教育のガラパゴス化を放置(鈴木寛)

大学入試の提言を読む 英語教育のガラパゴス化を放置(鈴木寛)
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 2025年以降の大学入学共通テストでの英語4技能試験と記述式問題の導入について、文科省の検討会議が「実現は困難」とする提言をまとめたことを受け、文科省は近く導入の断念を正式に決める。Society5.0の到来に向け、高校の学習指導要領の改訂から、共通テストの導入を柱とする大学入学者選抜と大学教育の刷新まで、一貫した改革を目指してきた高大接続改革は、大きな曲がり角を迎えた。元文科副大臣・前文科大臣補佐官として高大接続改革を推進してきた鈴木寛・東大・慶大教授と、実質的公平性の実現を掲げて共通テストへの英語民間試験と記述式問題の導入に反対してきた検討会議メンバーの末冨芳・日大教授=7月29日掲載=に、それぞれの視点を聞いた。2回に分けて掲載する。

中学生・高校生の英語力
 中学生・高校生の英語力

 鈴木教授は「高校の学びで、これからの時代に必要なコミュニケーション英語や、思考力・判断力・表現力を重視しているのは、一部の学校に限られている。それを全ての高校に広げるためには、大学入試でなるべく広く英語4技能と記述式を問うようにするしかない、というのが改革の狙いだった。共通テストに導入できない理由を並べてみても、元々の本質的な問題が解決されるわけではない。特に、これまで20年間放置されてきた英語コミュニケーション能力はさらに放置状態が長引くことになり、このままでは今すでにある格差が一段と拡大してしまう。各大学が個別試験で対応するしかないのなら、英語4技能試験と記述式問題の促進策をもっとはっきりと進めなければならない」と指摘する。

 (聞き手・教育新聞編集委員 佐野領)

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