特集 Special issue
【連載】フレッシュ先生奮闘記 第9回
教員採用ジャーナル 2011年12月12日号掲載
自分の生まれた地で教員に
地域を愛する子を育てたい
■友達に教える楽しさが原点
「自分が育った地で、地域を愛する生徒を育てたい」――。青森市立浪打中学校(熊谷せい子校長・生徒数309人)の川口真弥教諭は、昨年度同校に新卒で英語教諭として赴任した。いま2年目のまさに〝フレッシュ先生〟だ。
中学校の頃に、わからないところがある級友に教えてあげると喜ばれたことが、教師になる原点になっていると振り返る。
「大学受験の頃には、教師になろうと教育学部を受験した」そうで、社会科や音楽科も考えたそうだが、英語が好きなうえ得意だったこともあり、「職業にするなら英語科にしよう」と考えた。
英語が好きだったので、通訳など海外を拠点にする仕事も選択肢にあったわけだが、「教えることに興味があったし、家族や津軽弁も好きで、青森から離れたいとは思わなかった」。加えて「方向音痴で、青森市内でも道に迷うくらいだから、遠くはちょっと…」と笑う。
同校に通い始め、はじめは実家からバスで通っていたが、さすがに不便と愛車を購入し、ゴールデンウィーク明けに初出勤を迎えた。が、「ちゃんと学校に着けるかどうかが不安で、ためしに前日に学校まで往復した」とか。
愛車での初出勤の日は、同僚の教師たちから「よくぞ無事に着いた!」と、記念写真を撮ってもらったそう。
学生時代、「はじめは小学校の教員免許も取ろうと思っていた」と、大学があった弘前市の公民館で、小学生を対象としたウォークラリーのボランティアをしていた。
「小学生はとてもかわいいのだけど、実際に教育実習にいってみて、全教科を教えなければならないのと、1年生と6年生のギャップがあまりに大きくて、全員に教えるのは大変だと思った。それに体育が苦手なので、到底無理だと思って中学校の教師になろうと決意した」。
■事務作業の繁雑さには驚き
初めて教壇に立ったときには、さすがに緊張したそうだが、担当したのが1年生だったので「同じ1年生だから、一から一緒に頑張っていこうねといって、一つひとつやっていった。授業は不慣れだったけれど、子どもたちに支えられた」と目を細める。
1年生の全クラスを担当したので、2年生になったいまも、83人全員が「自分の学年の子」という思いをもっている。担任もしているので、なおさらかわいいし、一緒に成長している感もある。
教える側になって驚いたことは、事務作業の多さだった。「授業だけでなく、生徒指導や書類の作成などたくさんで、学校は生徒が知らないところで大変なことがいっぱいあると身をもってわかった」。
しかも、欠席が続いた生徒や不登校気味の生徒の家に、平均すると週に2回ほど家庭訪問に行っているので、学校を出ても仕事だ。
そんなこともあり、仕事の後にプライベートで出かけることはあまりない。「出不精でインドア派だから、ほとんど自分からは出かけない。休みの日に家でボーっとしたり、昼寝したりするのが何よりの楽しみ」だそうだが、誘われれば一緒に採用された同期の人と会っておしゃべりすることもある。
「なるべく仕事の話はしないようにしていても、どうしてもなっちゃう。オフも教師やってる感じ」とにっこり。
のんびり派を自認するが、学生時代に吹奏楽部で吹いていたクラリネットをまたはじめようと思っていたり、茶道や書道にもできればチャレンジしたいと考えている。
部活ではソフトテニス部の顧問をしている。「テニスの経験がないので、実践的な指導はできないけれど、客観的なアドバイスやトラブルが起きたときに、メンタル面でケアできればと思っている」という。
■生徒へかける言葉の重みを感じる
同校は今年度、社団法人全国出版協会が主催する「第5回高橋松之助記念・朝の読書大賞」を中学校としては全国で唯一受賞したこともあり、毎日8時からの10分間は朝の読書の時間で、担任も教室で一緒に本を読む。
「朝、集中する時間が持てるのはいい。読書量は多いほうだと思うけれど、生徒が推薦してくれた本を読むこともあるし、職員室の隣りの席が司書教諭なので、図書館に買った本が机の上に積んであることもあり、それをチェックして学校図書館で借りて読むこともある」。
教師になって思うのは、「言葉の重み」だという。「生徒と話をしていて、一度、自分の口から出た言葉はもう戻せない。この生徒にはこう言った方がよかったのかな、ああいう言い方で大丈夫だったかななど、言葉の取捨選択を慎重にしようと心がけている」とする。
「子どもを見ていて、去年よりもどこか成長したなと思えたり、引っ込み思案の生徒が頑張っている面を垣間見たときにうれしさを感じる」とし、「年が近いので、一緒に趣味の話など、たわいのない話をしているときがとっても楽しい」とやりがいを感じている。
教師は長く続けていきたいと考えており、「きちんと叱れるけれど、アフターケアもでき、どんな生徒でも包み込める包容力のある人になりたい」との抱負をもつ。
これから教師になろうとしている後輩には、「授業をするという点においては、教師歴1年でもベテランも一緒。それだけに専門性は高いに越したことがない。私ももっと勉強しておけばよかったと思うけれど、学生のうちに吸収できることは、できる限りしておいたほうがいい」と、アドバイスしてくれた。












