「できる教師の学級経営・授業スキルアップセミナー」が12月2日、教育新聞社20代先生プレミアクラブ主催、NPO法人日本教育カウンセラー協会、全国教育研究所連盟、教育創造研究センターの後援で、東京・世田谷区の昭和女子大学で開催された。銭谷眞美文部科学事務次官の特別講演に続いて、「確かな学級経営・授業展開のポイント」をテーマに、河村茂雄都留文科大学大学院教授が講演した。午後に行われた実践ワークショップでは、小学校と中学・高校のコース別に、モデルとなる授業の手法や進め方、工夫の数々が示された。参加者らは、明日から役立つ内容として研鑽を深めた。
学級と教師自身の状態把握を◇基調レクチャー◇
セミナー参加者は、新任・若手教員150人。東京都からだけでなく、宮城県や愛知県などから、また、若手教員を指導するために自ら見識を深めたいと参加した校長も。
基調レクチャーとして講演した河村教授は、まず、「いまは、クラスの中に、社会性がまったく育っていなかったり、人間関係が結べなかったりする子どもがい
ることを前提に、学級経営をしなければならない」と強調した。
そして、「調査したところ『2―6―2』という割合が鮮明になった。生活習慣が身に付いており、協調性があるのが2割、そうでないのが2割、その中間層が6割。この6割は1―5に分かれ、1の方は協調性がある2割の方の傾向性を持つグループで、5の方はそれがない傾向性を持つもう一方の2割のグループに近い集団。この5の方のグループは不安傾向が強く、自分の意見をはっきりと言わず、誰かに同調して3、4人の小さなグループを作る。同調性が強いので、社会性がない2割に同調すると学級が崩れていく。社会性のある2割に同調すれば、満足型の学級経営が可能だ。協調と同調を取り違えてはならない」と指摘した。
その上で、学級の状態を診断・把握する調査「Q―U」を定期的に実施し、管理の面が強すぎないか、子どもとのなれ合い傾向が強すぎないかといった自分の学級の状態や、自らの指導性と援助性のバランスを把握することの重要性を強調した。
また、「教師が指導場面で強制をしても、活動内容が面白いと子どもに『やらされた』感はなくなり、その結果として教師が子どもたちから信頼感をつかむことができる」「教師は、若いうちにこそ集団を読む手法を1つ以上身につけておくべきであり、うまくいっている学級経営の型を覚えることが大切」などと、学校経営のポイントを解説した。
ユーモアの中でソーシャルスキルを学び取る◇実践ワークショップ・小学校◇
午後の実践ワークショップは、現役の公立小・中学校教諭を講師に迎え、小学校と中学・高校のコース別に行われた。
小学校コースでは、日本教育カウンセラー協会認定の上級教育カウンセラーでもある藤村一夫氏が、授業に活気がない学級やのびのびしているが騒々しい学級での授業の仕方について解説した。
授業に活気がない学級に対しては、授業中に一人ひとりが認められる役割場面を設定し、温かい人間関係を促進した
り、教師に対する緊張感の緩和を図る。騒々しい学級では、教師がモデルとなり、最低限のルールとして「聞き方・話し合いの仕方」を確立するといった対応法が示された。
具体的には、例えば「漢字ゲーム」。ルールは@各班で行にんべんの漢字をたくさん出そうAどこかの班から聞こえてきた漢字も加えていいよ――。こうすると、何も指示していないのに、騒々しさはなくなり、ほかの班に聞こえないような声で話し合い活動を始め、集中して学習を進めていく。
このように、指示的・強制的にならず、しかも楽しさやユーモアに包みながらソーシャルスキルを自然に身に付けられる実践上の工夫の数々が紹介された。
「未来通知表」を自分で書いて効果◇実践ワークショップ・中学・高校◇
中学・高校コースでは、同じく上級カウンセラーである鹿嶋真弓氏が、生徒への学習意欲を継続させる方法として、自分のことであれば関心をもつ生徒の傾向を利用して「エゴグラム」(性格分析法の1つ)を導入することや、学習場面で「この仕事をしたい人は、ここは基本だよ」とその場で言い、生徒の学習の意味づけをするなどの具体例を示した。
独自の指導の工夫である「未来通知表」は、通知表の次学期の各教科の評定欄に、自分
が取りたい、こうありたいと思う数値を薄く鉛筆で記入し、次学期の目標設定をするというもの。
「目標のうち、いくつかでその通りの結果になることが多い」と、その有効性を語った。
また、教室を短時間できれいに清掃する工夫などについても解説した。
鹿嶋氏は、会場の若手教員や来年度から教壇に立つ参加者に、「困ったときには、いろいろな先生に聞いてみる。自分に近い人の意見で自分のできることをやってみる」などと具体的にアドバイスした。
講演後には、現状について助言を受ける参加者の姿があった。
【受講者の声】
○「若いのだから色々やってみればいい」とよく言われるのですが、どうすればいよいか分らず、学級経営もうまくいかず悩んでいました。今日は、いろいろな型をまねをすればいいと聞き、とても気が楽になりました。(23才・小学校教諭)
○本セミナーで自分のモチベーションを上げることができました。明日からの実践に生かせるものがたくさんあり、とてもためになりました。(23才・小学校教諭)
○本を読んでもイメージできなかったことが、ワークショップでとても具体的にイメージできるようになりました。明日から実践しようと思います。(28才・小学校教諭)
○内容が具体的・実践的であったので、明日から活用できそうな指導法がたくさん見つかりました。(22才・中学校教諭)
○普段、学校の中で先輩に相談するよりも、もっと専門的、具体的で、納得できることがたくさんありました。(24才・高校教諭)
○毎日の指導でうまくいかず、モヤモヤしていたものがありましたが、セミナーの中でなるほどと思うことが多くあり、少しモヤモヤが晴れた気持ちになりました。(30才・中学校教諭)
次回セミナーも乞うご期待!!
プレミアクラブ会員は、割引優待で参加いただけます。