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教員採用試験対策の決定版!!

教育課題の料理法

―こう見る・こう書く・こう論ずる―

小笠原喜康・日本大学文理学部教授

教員採用試験では、人物重視の視点から、論作文の配点比重が高まっている。どんなに作文が得意でも、自己流の対策だけでは対応できないのが現状だ。本紙でも、これまで執筆テクニックを中心に解説した「教員志望者のための論文講座」をお届けしてきた。今回からは、試験でも頻出するさざまな教育課題を、どのように見たて、論じていくのか具体的に伝授する「教育課題の料理法」をスタートする。執筆者は、ベストセラー『大学生のためのレポート・論文術』の著者である日本大学文理学部の小笠原喜康教授。わかり易く核心をついた解説が評判だ。

正答主義から抜け出せるか
(今日的な教育問題の論文 その1)


先月末、「平成19年度全国学力・学習状況調査」の結果が発表されました。そこで最初は前回お話しした「教育論文出題パターン」の3番目「今日的な教育問題への考えを問うもの」についての対応からお話しします。
こうした今日的な問題に限らず、どんな論文でも、一番注意しなくてはならないのは、「紋切り型」になるということです。ステレオタイプとかワンパターンともいいますが、論文を書こうとするときに、一番避けなくてはならないのが、この問題です。
 では、どうしたら「紋切り型」を避けられるのか。なにか突拍子もないことを書くのでしょうか。それとも、人の知らない事実を書くのでしょうか。
 いえいえ、どちらもダメです。ではどうするのか。この答えをいう前に、このことに関わる、日本の教育の問題点のことをお話ししたいと思います。
 私は、日本の教育で一番問題なのは、「正答主義」だと考えています。私たちは、「正しい答えをしなくてはならない」という強迫観念に近い意識を持たされてきました。
 学年が上がるにしたがって、自分で考えて、自分なりの答えを導きだす力が必要なはずなのに、日本の教育は、いままでその逆の道を歩んできました。
 もちろんそれは、高校入試・大学入試を心配した先生方の善意だったのですが、学年が上がれば上がるほど、「考えるな、覚えろ」という教育ばかりが行われてきました。
 一番多感で、考える力も意欲も旺盛な時期にそれを抑えてきたのですから、もったいない話です。教育の大いなる損失といえます。
 それはさておき、では、どうしたら「正答主義」から抜け出せるのか。前回述べたように、「相手のことを考え」つつ、「正答主義」を避ける方策はあるものか。
 「平成19年度全国学力・学習状況調査」の結果は、すでにご存知だと思います。「知識」はおおむね理解されているものの、「活用」には課題があった、というのがその結果です。
 ではこれを、どう処理するのか。次回具体的にお話しします。

避けたい切り出しパターン
(今日的な教育問題の論文 その2)


 さて、前回述べたことの要点は、こうでした。
 どんな論文でも、一番注意しなくてはならないことは、「紋切り型」にならないことである。  それには、「正答主義」にならないことが大切である。
 では、その「正答主義」にならないためには、どうしたらいいのでしょうか。論文の出題テーマを仮に、次のように決めましょう。
 「昨年度、『全国学力・学習状況調査』が実施されました。その結果、従来型の『知識』問題には、おおむね問題がなかったものの、PISA型の『活用』問題には課題があることがわかりました。この問題について、あなたの考えを述べなさい」
 これが、「主題テーマ」です。このテーマの最後の部分は、「この課題を乗り越えるには、どのようにしたらいいのでしょうか。具体的な事例をあげて述べなさい」という具合にされることもあるでしょう。
 さて、こうした問題が出されると、次のような切り出しで書く人が多いと思います。
〔問題繰り返し型〕
 昨年度実施された、「全国学力・学習状況調査」では、従来型の「知識」問題はよくできたが、PISA型の「活用」問題はあまりできなかった。これは、……
〔事実ひけらかし型〕
 昨年度の、「全国学力・学習状況調査」の結果では、「知識」問題の正答率は8割以上であったが、PISA型の「活用」問題では、6割台にとどまった。このPISA型「活用問題」というのは、……
〔超・イヌの卒倒型〕
 昨年度の、「全国学力・学習状況調査」の結果では、日本の教育に大きな課題を提起した。PISA型の「活用」問題の結果が予想通り、大変悪かったからである。これは、由々しき問題である。……
 これらの切り出しはどれも悪いパターンです。とりわけ最後は、「イヌの卒倒」、つまり「ワン・パターン」の典型です。次回は、これを避ける方策の具体例をお話しします。

その書き方のここが悪い
(今日的な教育問題の論文 その3)


 前回お話しした悪いパターン、あれがなぜ悪いのか、その理由をお話しします。
 〔問題繰り返し型〕は、いいたいことがないときに、これに陥ります。とりあえず、まずは問題を繰り返して、その間に考えようというわけです。
 しかし、このパターンで始めると、次は「これは、いままでこうした問題になれていなかったからである。それにまた…」と、どこかのニュース解説的な論調になります。さらに紋切り型になるわけです。こうなると、もう間もなく行き詰まります。
 〔事実ひけらかし型〕は、さらにニュース解説型になっていきます。よく勉強してきたこのタイプの論文は、ともかくも知っていることを全部ださないと落ち着きません。
 このタイプは、「PISAというのは、OECDの…」とか、「その採点には幅があり、正確な評価に課題を残している」などと、それこそNHKのニュース解説的になっていきます。
 いっていることに間違いはないのですが、こういう論文は、その結論もありきたりのものになりがちです。そればかりか、自分がいったいなにをいいたかったのかも、わからなくなってしまいます。
 〔超・イヌの卒倒型〕は、単純なくせにやっかいです。「やっかいだ」というのは、このタイプの論文は、自分をよい人間だとか、よい先生になれる人間だと思わせようとしているからです。
 このタイプは、別名「心理主義論文」といいます。なんでもかんでも精神論にもっていきたがる。  そのため、このタイプでは、問題をだされると「これは、由々しき問題である」といった具合に心配してみせることになります。
 そしてさらに、お定まりの「子どものためにがんばります!」で締めようとします。もちろん、中身がありませんので、これも間もなく行き詰まります。
 さて、ではどうしたらよいのでしょうか。もちろん、この悪いタイプを避けるといいのです。では、次回いよいよというか、ようやくというか、具体例をお話しします。


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