教員採用試験

2013年度教員採用選考ガイダンス その1

来夏試験に向けて準備を始めよう


 来夏に実施される2013年度教員採用選考に向けて、本格的な準備を始める時期です。最新の採用状況から、選考日程、試験内容まで確認しておきたい項目をまとめました。下記の情報を学習計画の参考にしてください。
Ⅰ.最新の採用状況

 公立学校教員の採用状況は、大きく3つの特徴があります。(1)都市圏の小学校教員を中心として大量採用期のピークにあること、(2)地域と校種によって、採用状況に大きな格差があること、(3)採用者の約7割は既卒者であることです。
 今夏に実施された2012年度選考の採用見込み数は約3万人に上り、その数は11年連続で増加しています。受験者数は16万人前後で推移しているため、採用倍率は低下しています。 これは教員全体の3分の1を占める団塊世代以降のベテラン教員が定年退職期を迎えているためで、地域により違いはありますが、今後5年程度は大量採用が続く見込みです。
 今夏試験の志願倍率をみると(表1)、小学校教員では、多くのの県市が3~4倍前後の倍率まで低下しています。中学校教員では5~8倍、高校教員では8~10倍の県が都市部を中心に広がっています。 一方で、東北や九州など過疎地域の県では、採用数が大きくは増えず、二桁以上の高倍率が続いています。    
 
  一般の就職試験と大きく異なる点は、受験者及び採用者の約7割を既卒者が占めることです。 既卒者の身分は、臨時採用教員や講師経験者、社会人経験者などです。既卒者の割合は、どの受験校種もほぼ同じです。
 新卒者は同学年の受験者だけでなく、講師経験などのある既卒者もライバルになります。近年の採用試験は即戦力を重視する傾向にあるため、現場経験のある既卒者が有利になる面もあります。全国的な合格率はどちらも大差ありませんが、一部の県では、新卒者の採用者に占める割合が低下しているところもあります。

 Ⅱ.選考スケジュール
 
  採用選考の大きな流れは、①願書提出(3月下旬~6月上旬)②1次試験(7月上旬~下旬)③2次試験(7月下旬~9月上旬)となります。実施自治体ごとに期間や試験内容が異なるので、前年度の選考要項で日程の目安を確認する必要があります。 
  一次試験は、地域ブロックごとに統一試験日が設けられています(表2)。試験日が重複する自治体は、併願することができません。
 1次試験の合格者は、採用者数の1・5倍~3倍の人数に絞られます。この合格者のみが2次試験に進むことができます。
 1次試験の合格発表から2次試験まで2週間前後と期間が短いため、1次試験の合格発表後に2次試験の対策を進めたのでは間に合いません。1次試験以前から2次対策もあわせて進める必要があります。
 最終合格発表は、9月~10月にかけて行われます。ランク別の発表を行う一部の自治体以外は、この時点で採用が内定します。ただし、正式採用と赴任先が決まるのは、年が明けて、最終面談が行われた後になります。

 試験前の準備に戻ると、重要なことの一つに、出願書類の準備があります。 多くの県市で、自己PRなど面接試験の資料になる記述が求められます。クラブ・部活動、ボランティア活動、得意分野・重点履修分野など、面接試験で質問される項目も多いため、各自治体の記載事項を調べて早めに準備が必要です。 2013年度採用の各自治体の説明会は、今秋から来春にかけて、各大学や官庁で実施されます。採用規模の大きい自治体ほど積極的に説明会を開催しています。説明会を行わない自治体もあります。

 Ⅲ.採用選考の最新傾向
 
 近年の教員採用選考の最も大きな傾向は、面接試験などにより人物評価と実践力をより重視する流れにあることです。 面接試験はすべての県市で実施され、多くの自治体が異なる形式で2回以上行っています。
 また、通常の個人面接、集団面接以外に、集団討論、模擬授業、場面指導などの人物評価、実践力を問う試験がほとんどの自治体で実施されています。 試験配点でも、人物評価に関する試験は、筆記試験の1・5倍から2倍の配点があります。さらに、最終選考において、筆記試験の得点差を反映しない県市が65県市中20県市に上り、増加傾向にあります。
 つまり、筆記試験で一次試験を突破することは必要条件ですが、面接試験等で高い評価が得られなければ、最終的に合格することは難しい状況になっています。 大分県の不正事件以来、従来は分かりにくかった人物評価の試験に関する判定基準を公開する県市が増えています。自治体によって、抽象的な説明から具体的な説明まで、分かりやすさに大きな差がありますが、試験対策の基礎資料として確認が必要です。 

2012年度採用選考 県別合格倍率

合格倍率=受験者数÷合格者数。()内の数字は志願倍率(志願者数÷合格者数)。「※」は他校種に含む。栄養教諭は割愛。

自治体 小学校 中学校 高校 特別支援学校 養護教諭
北海道・札幌市 3.8 7.0 7.3 2.6 7.5
青森県 24.2 11.1 8.6 6.4 12.0
岩手県 18.1 8.5 10.2 4.6 9.7
秋田県 7.0 18.2 10.5 7.9 4.9
宮城県・仙台市 5.7 8.7 11.9 10.9
山形県 6.7 9.3 13.5 3.2 26.7
福島県 10.4 2.3
茨城県 (4.0) (5.6) (7.3) (3.9) (7.9)
栃木県 4.0 6.6 9.3 5.8 6.4
群馬県 4.5 5.0 7.2 4.4 11.6
千葉県・千葉市 2.7 5.4 3.0 6.7
埼玉県 3.4 7.0 6.4 9.9
さいたま市 3.4 6.2 7.5 6.2
東京都 3.2 6.1 3.7 5.7
神奈川県・相模原市 3.2 5.3 7.1 3.7 9.0
川崎市 3.8 7.3 2.6 5.3
横浜市 3.3 6.0 4.3 6.1
新潟県 7.4 11.8 13.3 12.3
新潟市 5.8 8.5 7.3
山梨県 8.4 11.4 10.6 2.9 15.3
長野県 6.9 7.2 5.7 4.1 18.0
静岡県 3.7 5.0 8.7 4.2 8.3
静岡市 3.5 5.0 13.0
浜松市 3.0 5.4 6.4
愛知県 4.0 6.0 6.7 5.2 10.4
名古屋市 4.4 7.9   8.0 6.2
岐阜県 3.1 4.3 6.4 4.6 8.3
三重県 4.6 6.9 7.5 4.3 17.0
富山県 3.4 4.4 3.7 4.3
石川県 3.2 5.5   4.7
福井県 6.4 5.6
滋賀県 2.9 5.3 4.4 3.1 5.3
京都府 4.0 5.4 8.0 2.9 10.5
京都市 4.4 6.7 11.5 2.8 6.6
大阪府 3.8 4.3 4.8 5.1 6.4
大阪市 3.3 3.7 18.8 2.7 8.1
堺市 3.1 5.3 5.9
兵庫県 4.5 5.8 8.6 4.3 13.0
神戸市 5.0 5.3 3.7 10.9
奈良県・大和高田市 3.5 5.5 6.7 3.8 9.6
和歌山県 4.6 6.5 7.0 3.1 16.4
岡山県・岡山市 3.4 7.1 9.6 4.2 7.1
広島県・広島市 2.5 5.0 7.4 3.3 5.1
山口県 3.5 8.0 8.6 4.8 5.4
島根県 5.0 10.2 14.1 5.0 4.8
鳥取県 4.5 15.5 25.0 5.3 5.9
香川県 3.0 5.7 6.0 3.9 5.7
徳島県 5.0 8.1 14.1 6.2 8.2
愛媛県 6.5 8.5 8.7 4.2 4.5
高知県 5.4 6.5 9.7 3.8 7.0
福岡県 3.9 7.0 9.5 5.1 10.3
福岡市 4.4 9.8 4.9 5.4 9.7
北九州市 2.8 5.5 4.2 7.3
大分県 4.8 11.7 15.5 4.9 4.0
佐賀県 5.8 7.5 11.6 7.3 6.4
長崎県 13.8 13.4 14.1 9.7 10.1
宮崎県 13.6 19.7 13.2 15.1 8.7
熊本県 10.3 15.2 10.8 9.6 26.4
鹿児島県 9.1 11.5 11.4 13.3
沖縄県 8.1 15.0 23.3 26.0 7.9
1次試験日が重複した自治体(2012年度採用選考)
曜日 実施県
7月第1週 土・日ほか 【北海道】北海道・札幌市
【関東】茨城県、栃木県、群馬県、千葉県・千葉市、埼玉県、東京都、神奈川県・相模原市、川崎市、横浜市
【甲信越】新潟県、新潟市、山梨県、長野県
【東海】静岡県、静岡市、浜松市
7月第2週 土・日ほか 【近畿】大阪府、大阪市、堺市
7月第3週 土・日ほか 【近畿】滋賀県、京都府、京都市、大阪府、大阪市、堺市、奈良県
【中国】岡山県・岡山市、広島県・広島市、山口県、鳥取県、島根県
【九州・沖縄】福岡県、福岡市、北九州市、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
7月第4週 木ほか 【東海】岐阜県、愛知県、名古屋市、三重県
【四国】香川県、徳島県、愛媛県、高知県
土・日ほか 【東北】青森県、岩手県、秋田県、宮城県・仙台市、山形県、福島県
【北陸】富山県、石川県、福井県
【近畿】滋賀県、京都府、京都市、大阪府、大阪市、堺市、奈良県、和歌山県、兵庫県、神戸市

 募集区分の面では、校種をまたぐ一括募集や、併願制度を設ける自治体が増えています。中学・高校の一括募集や、小・中学校の併願を認めるケースなどです。 もう一つは、特定の資格や経歴に対する一部の試験免除や特別選考の増加があります。試験免除は46県市、特別選考は57県市で実施されています。
  その中で、社会人や講師経験者、前年度の一次合格者等に対する一部試験免除や特別選考が増加しており、多くが一次試験の「教職・一般教養試験」などを免除する制度です。
 最近は、大量採用を行っている自治体を中心に、他県の会場で試験を実施する県市が増えています(11県市)。とくに採用の少ない地方県の受験者は地元採用とあわせ、受験機会を検討する必要があります。 最後に、受験要件の年齢制限を緩和する動きも広がっています。大量採用を行う県市を中心に、年齢制限を撤廃したり、緩和する自治体が増えています。

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