社説 Opinion

「6・3制」見直しの時機 注目される「4・3・2」制

 2012年1月16日号掲載


 現行の小学校6年、中学校3年(6・3制)に替えて、義務教育の9年間を4年、3年、2年で区分けする独自の学習カリキュラム「4・3・2制」への関心が高まっている。小中一貫教育の在り方などを審議している中教審の「学校段階間の連携・接続等に関する作業部会」(主査・小川正人放送大学教養学部教授)では、「4・3・2制」の導入校へのヒアリングを実施しているが、委員間の注目度も議論を追うごとに大きくなっている。
 昨年12月26日に開かれた第10回会議では、「4・3・2制」を実施している千葉県船橋市立若松小・中学校と東京都品川区の両自治体の担当者からヒアリングをした結果、「4・3・2制」による小中連携、一貫教育が大きな成果をあげていることがわかった。
 千葉県船橋市立若松小・中学校では、平成21年度に文部科学省の研究開発学校の指定を受け、「4・3・2の区切りと小中教員のコラボレーションによる授業」「『人間としての在り方生き方』教育の視点から教育課程の再構成(新設領域、英語教育、各教科)」の2つの柱を掲げ、独自の小中一貫教育を推進した。

 このうち「4・3・2」の区切りでは、1.期(小1~4年)、2.期(小5~中1)、3.期(中2~)と分け、1.期は「基礎的・基本的な知識・技能の習得」など、2.期は「基礎的・基本的な知識技能の活用」など、3.期は「主体的な学習態度の育成」などに力を入れた。学級担任制から教科担任制への緩やかな移行も目指している。
 その成果としては、「学校間の円滑な接続が図れた」「系統を意識した指導の充実ができた」「小・中教員間の連携・協力意識が醸成できた」などが挙げられた。

 一方、東京都品川区の小中一貫教育への取り組みは早く、平成18年度には区立全小・中学校(58校)で「4・3・2制」の一貫教育を導入。1.期で「基礎・基本の定着」(読み・書き・計算の習得)、2.期で「基礎・基本の徹底」、3.期で「自学自習の重視」などに力を入れた。
 その成果として同区教委は、「教員間の協働意識が飛躍的に前進した」「学力が確実に向上した」「基本的生活習慣がいい方向に変化した」などを挙げていた。
 「4・3・2制」を導入しているのはこの2つの自治体のほかに、横浜市、新潟県三条市、広島県呉市、香川県高松市などがある。(資料の表に一部掲載)
 このうち横浜市では、9年間を「4・3・2」でつなぐとともに、小学校と中学校の「連携部(5~7年生)」では、学習の内容や方法を工夫し、「小中の授業交流」「5・6年生の一部教科担任制」「6年生算数での中学校数学先取り学習」などを実施している。

 もちろん「4・3・2制」の課題も少なくない。「中学校教員の持ち時間の余裕がないと、乗り入れは困難」などの現実的な悩みは多い。作業部会の委員からも「この区切り方でいいのかどうか、立証されていない」「導入への必然性が担保されていない」などの否定的な意見も出ていた。
 ただ、現在の「6・3制」のもとでの義務教育が学力向上の面、規範意識の醸成の面などで行き詰まりを見せていることは事実である。この閉塞感を打破するためにも「4・3・2制」の実践成果を注視することは避けられないのではないか。
 なお、昨年7月の時点で、小中一貫教育全国協議会に正会員として加入しているのは31団体に達している。


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