社説 Opinion

平野新文科相に望む 教育振興基本計画の実現に全力を

 2012年1月23日号掲載


 野田改造内閣の文部科学大臣に、平野博文国会対策委員長が就任した。民主党政権下では4代目。鳩山政権下では内閣官房長官の要職に就いた経歴がある。
 就任の記者会見(1月13日)では、東日本大震災の復旧・復興支援という大方針に基づき、「将来の宝である子どもたちを放射能から守るため、学校での除染を積極的に進めたい」と力強く述べた。
 学校教育関係では「経済の厳しい家庭でも質の高い公平な教育を受けられる」ことを前提に、高校教育無償化の推進、小・中学校の35人学級の実現などを挙げた。

 特に会見の中で繰り返し強調したのは、未来を切り開く「人」、すなわち「子どもたち」をいかに尊重するかで、そのためにも従来の画一的な教育を改め、ドラスティックな手法による教育の実現を視野に入れた教育行政の推進に意欲をみせた。
 新大臣は、10年ほど前の01年に文部科学常任委員会筆頭理事に就任、「30人学級法案」を提出するなど、早くから文教行政に関心を持っていた。

 また民主党・教科書問題検討ワーキングチームを設置し、座長として「教科書問題に関する中間報告」の作成に携わったことがある。当面の懸案として「沖縄・八重山地区の教科書採択問題」の早期解決があるが、この問題に新大臣がどのような方法で決着を図るかに関心が集まっている。
 中間報告では、教科書採択について「保護者と教員とによる選択がより有効に機能するよう、より小さい単位で行われるようにすべきであり、現在の広域採択から市町村単位へ、市町村単位から学校単位へと採択は移行していくべきである」などの考え方を打ち出している。
 この考え方は「非現実的だ」として反対論も多く、現段階で実施に移されることは考えられないが、新大臣が現行制度の中で解決を図るのか、この中間報告を踏襲するのか、お手並み拝見ということである。

 新大臣の抱える大きな課題の1つに「第2期教育振興基本計画」の推進がある。中教審はすでに「基本的な考え方」を整理し、来年度早々には答申する予定だ。答申の基本的な方向性は、次の4項目である。
 (1)「社会を生き抜く力の養成」(夢と志を持って生き抜くための力)、防災教育の推進など(2)「未来への飛躍を実現する人材の養成」(イノベーションの創出やグローバル人材の育成)、国際化、情報化の進展に対応した教育の推進など(3)「学びのセーフティネットの構築」(学習機会の確保や安心・安全な教育環境の実現に向けた十分な支援)、施設設備の早期復旧など(4)「絆づくりと活力あるコミュニティの形成」(学校や公民館などを中心にした地域社会全体の教育力の向上)、ボランティア活動の推進など。
 これらは、新大臣が重視する「人間尊重」の基本と通底したもので、東日本大震災被災地の教育復興も念頭に入れている。
 問題は、これらの施策を実現する費用負担をどうするかだ。昨年12月9日に開かれた第13回教育振興基本計画部会で配布された参考資料の中に「教育に関する費用負担について」があった。「厳しい財政状況の中で、検証改善を通じて教育政策の成果を出すことが必要……社会全体で教育を支える環境を醸成し、ボランティアの活用、企業のCSR、寄附の増大などの多様な教育への支援を広げていくことが必要」とあった。答申に際してはこれらの点をしっかりと押さえ、新大臣の施策実現のための手腕に期待したい。


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