社説 Opinion
防災教育の充実 教育課程編成の工夫で
2012年2月23日号掲載
東日本大震災から1年が経とうとしている。被災地の復旧・復興を願っている。
学校教育では、東日本大震災を教訓として防災教育のあり方の見直しが進められているが、文科省では、防災マニュアルやパンフレットやリーフレットを発行したりして学校教育への支援活動に積極的に取り組んでいる。さらに、来年度予算には防災教育推進事業に3億円以上の予算を計上しており、それには被災児童生徒への学習支援のための教員の人的措置も含まれている。
各自治体でも防災ガイドブックや防災教育の教材、被災者の手記による副読本などを作成し、学校の防災教育充実のために様々な取り組みをしている。東日本大震災を教訓とした防災教育の推進にかかわる環境条件は整いつつある。
学校現場においても防災教育への関心は高まっているが、一方、防災教育のあり方について組織的に協議したり避難訓練の見直をしたりする具体的な取り組みについては、十分に時間をかけられない状況にあることは否めない。
学習指導要領に示す学校教育の理念は、児童生徒に「生きる力」を育むことであり、防災教育のねらいは自分の生命を自ら守る、自分の命に自ら責任をもつ主体性のある児童生徒を育てることにある。防災教育は単に災害に関する知識や防災のスキルを与える教育ではない。防災教育は、どのような状況におかれてもいかに生き抜くか、適切な状況判断によって行動することができる資質・能力を育む教育活動である。
多くの教師は、防災教育に対する高い意識をもっている。しかし、現状では生徒指導や保護者対応などに追われ、組織的・計画的に防災教育に取り組むことが困難なのが実態だ。しかし、児童生徒の命を守る教育、非常時に主体的に行動できる資質・能力を育む教育に取り組むことは学校教育にとっての使命である。年度内に次年度に向けた防災教育にかかわる活動を組織的・計画的に実施できるよう教育課程に明確に位置づけることが各学校に求められている。
今年度の教育課程では、防災教育について十分な時間をかけることができただろうか。来年度は教委などが作成した教材やガイドブックなどを活用することになるが、今年度の活動を振り返り、防災教育の授業時間確保に向けた取り組みが重要となる。
次年度の教育課程の編成に際し防災教育を明確に位置づけるためには、学習指導要領の総則「授業時数の取扱い」に示す様々な工夫を活用することになる。例えば、夏季等の長期の休業日の期間の活用や授業を特定の期間に集中して行ったり週の時間割を弾力的に編成したりするなどして防災教育の時間を確保する工夫に、ぜひとも取り組んでほしい。各教科の指導内容・授業時数が増えているので、教育課程の編成に何らかの工夫を取り入れないと生き抜く力を育む防災教育に取り組む授業時間の確保は難しい。
防災教育のねらいを実現するためには、各教科、道徳、総合的な学習の時間、特別活動などのそれぞれの特性を生かした教育活動とすることが重要である。しかし、各学校の目指す防災教育のビジョンに基づく講話、地震や火災に関する体験学習、地域調査、防災マップの作成、液状化実験、様々なワークショップ、保護者や地域の参画を得て行う体験型の防災教育や避難訓練など具体的な活動を想定すると、各教科等で取り組むよりは総合的な学習の時間の活用が有効と考えられる。次年度の教育課程編成に当たって一考を願いたい。
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