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【好評シリーズ】

新教育課程 先取りする実践

−新しい課題に学校はどう対応するか−

  

「言語活動」を重視した国語科教育 ―多様な読書活動を展開―
東京都荒川区立第三日暮里小学校


中教審答申を先取りし、全校をあげて言語活動を重視した国語科教育に取り組んでいる東京都荒川区立第三日暮里小学校(堀内俊雄校長、児童数437人)は2月15日、「生きてはたらく国語力の育成」を研究主題に、全学級(14学級)一斉公開授業で、その成果を披露した。同校の国語力向上の取り組みは、「国語科の学習」を中心に据え、「言語環境の整備」「読書活動」で支え合うというユニークなもの。驚くのは、その多彩な活動ぶりで、異学年交流でのストーリーテリング、幼稚園への出前読み聞かせ、グループでのブックトークなど、数え上げたらきりがないほどだ。

◆日常生活に使える力を◆
 同校の国語科研究は、平成17年度から開始された。この実績をもとに、18、19年度は、荒川区の研究指定校になり、本格的な研究に着手。当時、中教審で学習指導要領の改訂作業が行われ、言語活動を重視した国語科教育がしきりに論議されていた。  同校では、この中教審の論議を先取りした形で、「日常生活の中で、言葉を豊かに使っていく力をつけたい」(堀内校長)ということで、研究主題を「生きてはたらく国語力の育成」と設定、国語科の学習、読書活動、言語環境の3つの柱で取り組んできた。  国語科の目指す児童像としては、「あいさつや返事ができる」「自己紹介やスピーチができる」「話し合いができる」「調べたこと・学習したことを発表できる」「新聞や身近な文章を読むことができる」「手紙が書ける」「図書館を利用できる」「辞書を活用できる」「本に親しむ」「詩や古典に親しむ」の10の目標を掲げて、実践・研究に乗り出した。

◆整備されている「言語環境」◆
 校舎に入って、まず驚かされたのは、教室内での「言語環境」が見事に整備されていることだ。  全校児童がいつも目にする玄関や階段の踊り場には、「詩のひろば」「俳句のひろば」を設置。「詩」のコーナーでは、学級で暗唱や群読ができるように掲示、俳句のコーナーでは季節の俳句などが掲示されている。  国語科の単元に「読書の単元」を設けているのも特色の1つ。「読書発表会」(テーマを決めて自分の好きな本を紹介したりする)、「異学年交流」(読み聞かせやストーリーテリングを練習して異学年と交流)、「ブックトーク」(自分たちで紹介したいテーマを考え、ブックトークする)など、各学年で多様な取り組みをしている。  全校で取り組む読書活動としては、朝の読書活動(10分間)、読書集会(6月)、読書月間(6月と10月の年間2回、各1カ月)のほかに、出前読み聞かせがある。  出前読み聞かせは、読書月間中、図書委員会が近くの東日暮里幼稚園に読み聞かせに行く活動。5年生が就学予定者に読み聞かせをしたり、4年生が交流したりもする。  一方、図書館活用の授業も活発だ。司書教諭や担任が学校図書館指導員と協力して、図書館活用の力を高めるために授業を行う。十進分類法の仕組みや本の探し方、百科事典や年鑑の使い方、目次や索引の使い方などを学習する。

◆着実に伸びる児童の国語力◆
 同校のこれらの実践は、「まだ入り口の段階」(堀内校長)としているが、荒川区教委の川嵜祐弘教育長は、「朝の読書タイムはすでに7年目を迎え、異学年交流でのストーリーテリング、幼稚園での出前読み聞かせ、読書月間における全教員による読み聞かせなどにより、児童が、相手の年齢や興味を考えて表現できるようになった」などと評価していた。  これらの実践により、同校の児童の国語力は着実に伸びているとの印象を強くいだいた。




「小1プロブレム」の解消へ ―幼・保・小で学びの連続性―
埼玉県上尾市立平方小・平方幼・西上尾第二保


「小1プロブレム」の解消を目指して、埼玉県上尾市教育委員会(岡野栄二教育長)では、県教委の委嘱を受けて、市立平方小学校・平方幼稚園(吉田るみ子校長・園長)と西上尾第二保育所(武笠昭夫所長)と連携教育に取り組んでいる。2月7日には、平方小学校で研究発表会を開いた。発達や学びの連続性を踏まえた就学前教育と小学校教育の滑らかな接続は、新教育課程でも重視されている考え方だ。今後の連携教育の方向性を示唆する取り組みとしても注目される。

◆生活科で虫探しを実践◆
 平方小、平方幼、西上尾第二保では「心豊かに生きる子どもの育成」を研究主題に、学び・育ちの接続の観点から子どもたち同士の交流活動や授業体験を重ねてきた。  運動会では、ゴールで待つ6年生のお兄さん、お姉さんの胸に飛び込む幼児ら。「がんばったね」との励ましに笑みを返す子どもたち。「生活科」では、みんないっしょになって虫探しを。児童会主催のゲーム大会や落ち葉ひろいなど、様々な場面で交流が広がり、小学生も弟や妹に接するように、優しい気持ちで幼児らを迎え入れていた。  子ども同士のつながりとともに、教職員間の交流も活発だ。交換体験研修や合同授業など、双方の違いを理解した上で、接点を見いだしていく。異校種間に限らず、保護者や地域の人たちも交えた行事交流も。子どもたちを中心に、学校・家庭・地域が子どもの育ちを支えている。

◆人間関係に焦点を当てて◆
 学びの連続性では、幼稚園要領・保育指針と小学校指導要領のつながりを踏まえ、「人間関係」「言葉」から教育課程の接続を図った。道徳や特別活動の授業研究・授業交流など、人と関わる交流体験が人間関係をつくり、心を育てることから、「人間関係」に焦点をあてた学習の場に、「伝え合う力」の育成をねらいに、国語科では、気持ちを伝え合い、心を育てる言葉力の育成に努めた。  平方小学校研究主任の神田里美教諭は、「小学生は、自己中心的な発言から、相手の意見を考えた上での発言ができるようになった。幼児は、小学生や教師、地域の人々など、たくさんの人と交流する中で、人とかかわることの楽しさや優しく受け入れてもらう喜びを経験する中で、相手の話に耳を傾け、自分の思いを伝えることができるようになった。教師側も、合同研修や交流活動を介して、互いの立場や教育への理解を深めた」と成果を語る。

◆合同研修や交流活動で◆
 また、上尾市平方地区幼・保・小連携推進委員会委員長を務める同校の吉田るみ子校長は、「当初、試行錯誤の連続だったが、“行動”を合い言葉に、子ども、教師、保護者それぞれが交流体験を重ねる中で、少しずつ互いの理解を深めた。生活の様子や時間の流れを知り、それぞれの立場で相手のことを考えられるようになった。今後も組織的・計画的に連携・交流を進めていきたい」と話す。 上尾市教委の岡野栄二教育長は、「公開授業では、小学生が包むように座り、その中で幼児は安心しきったように、目を輝かせながら学びの中に入り込んでいたのが印象的だった。小学生から思いやりや優しさが伝わり、2カ月後には小学校生活を送る幼児たちから、期待に胸を膨らませる様子がうかがえた」と話していた。



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