【 新 紙 面 】
『特別支援教育』面がスタート
学校/学級で多様なニーズにどう対応するか
全国の実践事例をレポートします
行動の特性などをよく理解しよう ―その子に合ったやり方を見つける―
情緒障害通級指導学級を担当する長谷川安佐子教諭に聞く
学級担任はLDやADHDなど特別な教育支援が必要な子どもたちの状態をどのようにとらえ理解したらよいか。情緒障害等通級指導学級が身近にある場合には、専門的なアドバイスが参考になる。学級担任が子どもを理解するための視点などについて、長谷川安佐子東京・新宿区立天神小学校情緒障害通級指導学級教諭に聞いた。
■青空学級での取り組み
青空学級は、天神小学校に併設された情緒障害等通級指導学級で、4学級に教諭5人が配置されています。アスペルガー症候群を含めた自閉症児やADHD、LDなどの児童が区内15校から通っています。都では、特別支援学級の教員定数は学級プラス1人の配置です。通級も同じです。
通ってくる子どもたちは、周りの状況を読めない子が多く、集団の中の一斉指示では何を先生から指示されているのかわからないことがあります。知的な遅れがない子が多いため、思ったことをそのまま口にして相手にいやな思いをさせてしまう子もいます。自分ですべきことをしていない場合が多いため、普通学級では非難の的となってしまいがちです。
発達に偏りがあり、バランスの悪さがみられます。見た目には年齢相当のことができそうですが、周囲からは怠けていると見られることもあります。
同学級には、通級するクラスが午前と午後にあります。午前中に通う子どもたちは、集団のルールを覚えたり集団に適応するためのトレーニングが必要と思われる子どもが通っています。午後のクラスは、在籍学級で授業をできるだけ抜けない方がよいと思われる子どもが通ってきています。
午前中のクラスでは、1対1の個別指導の場面と小集団の指導場面を組み合わせて指導しています。1対1の指導では、長所と短所を捉えた上で、本人の得意なことを活動全体の8割ほどを目安に取り入れ、認められる場面をより多く設け、能力を少しずつ伸ばす指導を実施しています。
体育や言語指導の時間での小集団の指導は、1人の教諭が中心になり、小集団の指導に当たり、ほかの4人の教諭は記録や補助にまわっています。この中で起きたトラブルを通じて、例えば、並んでいる列の順番を守ることや、教室から外に出るときは、先生に断ってから出ることといった集団のルールのほか、自分の机の周りのものを片づけたりすることなどを学ぶことができるようにしています。
■子ども理解のための視点
運動面では体の動かし方がぎこちなく、クラスの中で友だちとすれ違う際にぶつかりやすかったり転びやすかったりするなどの面も見られます。体の部位を動かすのが苦手なのは、自分の体のイメージが希薄だからではないかと感じています。
「手をあげて」と言われて、肘が曲がっているのに本人は「まっすぐ手を伸ばしているよ」と言い切ったりします。そんなときは、鏡を見せて自身で確認させ、まっすぐに伸ばした状態を目でも確認させて体の感覚を育てていきます。
ボールを投げる場面で、力の加減やコントロールに難がある場合があります。指先もうまく動かせない傾向も見られます。例えば、消しゴムでノートに書いた文字をうまく消すことができなかったりします。指の使い方が上手な方ではありません。
このほかにも、床の上の自分の鉛筆を足で踏んづけても気づかなかったり、自分の机の周りの床に筆記用具やお知らせなどの紙が散乱していても、気にならないし、片づけようとしない子もいます。
そのような子どもたちには、その子なりに意識させやすい方法を教員が見つけ出して指導するのが、子どもにとっても先生にとってもよい方法です。このような個々の子どもの理解を担任の先生に情報として広げていくことが重要です。
■特別支援教育がスタートして変わったこと
特別支援教育が全国で実施されるようになり、一般の学校でも、校内での特別支援についての研修が行われるようになりました。そのため、2、3年前と現在とでは、都の教員と話してみると、話の伝わり方がよくなってきたと感じています。
ただ、学校や担任の差が大きいのが気になっています。これには、管理職の意識も大きく影響しているのではないでしょうか。管理職や特別支援コーディネーターが担任を十分にサポートし、体制が整っている学校がある一方、両者ともまったく動いていない学校もあります。普通学級の担任がひとりで特別支援の必要な子にかかわるのは、難しいです。通級学級の先生や養護教諭の意見を聞きながら、その子の特性に応じて持ってる力を伸ばしていけるとよいと思います。
特別支援教育Q&A
−多動で落ち着きのない子の指導−
Q 現在、小学校3年生の担任をしています。私のクラスには、多動で落ち着きのない男児がおります。知能的には正常範囲で十分な理解力がありますが、授業中、いすをガタガタさせたり、席を立って教室の内外を歩き回ったりして、困っています。どのように指導したらよいでしょうか。
A 多動で落ち着きのない子の中には、刺激に対して過敏に反応し、非常に注意散漫になってしまう場合があります。知能障害はないと考えられますから、特別支援教育の考え方としては、通常の学級で教育していくことが、最善だと思われます。
その上で、週1〜2回、通級による指導の専門的な指導を考えてはいかがでしょうか。それでも教育が困難となったら、教育の専門機関などの相談、検査などを受け、今後の就学について保護者とよく話し合い、考えてはどうでしょうか。
さて、担任としての指導改善についてですが、次の3点を実施してみてはどうでしょうか。
@学級内での簡単な約束事を決め、守るように指導する
まず、授業中は席を立たない、発言をするときは挙手するなど、学級内での簡単な約束事を決め、きちんと守れたときには、学級の児童全体の前でほめるようにしてみてはどうでしょうか。
A注意の集中や持続を高める指導をする
注意散漫、多動などの問題行動が多い場合、ともすると「静かにしなさい」「席を立ってはだめ」「どうして落ち着いてやれないの」などとしかったり、強く規制・指導しても、あまり改善されません。むしろ、関係ないと思われる「身の回りの整理整頓」「身だしなみをきちんとする」など自分の身の回りに関心を向けさせて、注意の集中や持続を高める指導をするとよいでしょう。
具体的には、机やロッカー、ランドセルの中など、毎日学校生活で使うものをきちんと整理するとよいと思われます。むろん、学校だけの指導では限界がありますので、保護者と連携しながら、家庭でも同じようなしつけをしてもらうとよいでしょう。
B学習環境を整える
刺激に過敏に反応し、注意散漫になってしまいますので、学習環境を整えることが大切です。教室内の不用な掲示物を取り除いたり、きちんと整理したりして、過度の刺激を与えないように配慮するとよいでしょう。
いずれにしても、担任だけが抱え込むことなく、コーディネーターと相談したり、校内委員会で対応や指導策を話し合ったりすることが大切です。
(清野佶成・元都立南大沢学園養護学校長、秀明大学教授)
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