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[H22年3月11日] 民主党の小林千代美衆議院議員が北海道教職員組合(北教組)から総額1600万円の違法な選挙資金(昨年8月の衆院選)を受け取ったとされる事件で、札幌地検は3月1日、政治資金規正法違反(企業・団体献金の禁止)で、北教組の幹部3人を含む4人を逮捕した▼北教組は公立小・中学校教員を中心に約1万9000人が加入。組合離れが続く中、34.2%(昨年10月現在)という高い組織力を誇る。管理職を除けば、7〜8割は組合員とされている▼「あまりにもイデオロギー過ぎる」ことを理由に、北教組を脱退したある教師の証言によると、「脱退者に対する攻撃は激しく、しかも執拗だ」という。また、「教育委員会ににらまれるよりも組合ににらまれるほうが怖い」という。左翼的イデオロギーを盾にした攻撃はいまだに健在なのだ▼北教組日高支部はこの春、「『日の丸君が代』強制に反対するとりくみについて」と題する“闘争マニュアル”を作成したが、その内容があまりにも前時代的な考え方なのに驚いた。日の丸君が代への反対を表明した上でその理由に「憲法の主権在民や良心の自由を侵害」「侵略戦争のシンボル」「政治大国、軍事大国のシンボル」「掲揚や斉唱を通じて改悪学習指導要領の徹底につながる」などをあげている▼国会議員への献金が自らの政治的要求を貫徹するために行われたとは思いたくはないが、実際に法律違反の献金が行われたならば、その主張も色あせたものになろう。 | |
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[H22年3月8日] 4月実施を目指す高校授業料の実質無償化で“迷走”が続いている。朝鮮学校を入れるかどうかで首相をはじめ、閣僚間で様々な意見が飛び交っているのが原因だ▼“迷走”は米軍基地の移設問題と同様、現政権のお家芸で、驚くには当たらないが、審議会なりで十分な審議を経ずに法案を提出してしまった“ツケ”がここに来て露呈したといえる▼“迷走”の発端は、中井国家公安委員長が北朝鮮への制裁(拉致問題)との関連で、朝鮮学校を無償化の対象から外すよう川端文科相に要請。これに対し、文科相は、外交問題を対象決定の判断材料とはせず、「何をもって『高校と同じもの』とみなすのかという判断基準は、国会の議論も踏まえながら最終的に省令で決めたい」との考えを示した▼“迷走”に拍車をかけたのは、やはり鳩山首相の発言。首相は当初、中井国家公安委員長の発言を支持していたが、翌日には、朝鮮学校側の反発を恐れてか、「文科省を中心に検討している」と、すぐさま修正に動いた▼“迷走”する政府の姿勢に、朝鮮学校側は、「あくまでも対象にすべきだ」と反発を強めている。また、イーエーエスブラジル学校浜松校(浜松市)が南米系外国人が通う各種学校も無償化の対象に含めるべきだとした報道もある。多額の血税を導入する高校の実質無償化を実施するためには、納得のいく線引きをする必要がある。その際、あくまでも「高校」にこだわる必要がある。文科相の指導力が問われる問題だ。 | |
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[H22年3月1日] 文藝春秋3月特別号で「ひとを動かす言葉の力―指導者研究」という特集が組まれている。そのリードに「なぜ彼は大事業を成し遂げることができたのか。どうして彼のまわりには人材が集まってくるのか。なぜ彼の存在がかくも大きく重く感じられるのか。身近で接した人だけが知る忘れ難い一言、人間力の秘密」とある▼取り上げられたのは、政財界、官界、学会、スポーツ界などで活躍した超一級の人物15人。かつて親しく交わった人たちが執筆しその素顔とともに「ひとを動かす言葉」を紹介している▼連合艦隊司令官・山本五十六の「ほめてやらねば人は動かず」はあまりにも有名。「経営の神様」といわれた松下幸之助は社員が製品開発で大苦戦しているとき、「君は商品を抱いて寝たことがあるか?」と一言。「寝食を共にするほど徹底的に商品に向かい合うこと」を示唆▼ソニー創業者の井深大は細かな管理などをせず、仕事の裁量をすべて本人に任せる鷹揚さを持ち「仕事の報酬は仕事」との名言を残した。日本サル学のリーダーで登山家・探検家として多くの学術探検を主導した今西錦司は「真っ直ぐや!」が口癖で右顧左眄しないことがモットー▼もう1人、政治家の岸信介。「昭和の妖怪」と呼ばれる一方、「戦後日本の宰相の中でも傑出した存在」ともいわれ、評価が分かれる。座右の銘が「決意を断言するのが政治家」。そうでない政治家は評論家にすぎないとみている。いまの宰相の言動をみると、けだし名言だ。 | |
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[H22年2月25日] 経済的に困窮する学生に、教職員のボーナスの一部を支給し、学業継続を――とキリスト教ヒューマニズムを教育理念に掲げている学校法人上智学院(上智大学、上智短期大学、上智社会福祉専門学校)はこんな奨学金制度を創設、ちょっとした話題を呼んでいる▼正式名称は、「学生支援・ホフマン特別奨学金」制度。同学院の初代学長であるヘルマン・ホフマンが来日して今年で100年目。この節目の年に、「他者のために、他者とともに生きる」というキリスト教の教えに基づき、創設したものだ▼対象となる教職員(約810人)のボーナス予算は約3000万円。来年度から約1000万円ずつ3年間、経済的に困窮している学生100人に1人10万円を給付し、12年度まで続ける。返済の必要はない。教職員1人当たりの平均支出額は約3万7000円。中には支給に異論もあったようだが、教職員組合とも合意したとのことだ▼いまのところ、他の大学が上智学院のような学生支援策を講じているといった動きはない。この際、国公私立を問わず各大学は、特別奨学金制度の導入など自らの知恵を出し合い、独自の奨学金制度を考え出してもらいたい。教職員の“痛み”を伴う上智学院の勇気ある試みが、その一石を投じることになるのを期待したい▼また、大きな社会問題になっている「貸与制」の問題についても大いに議論してほしい。ちなみに大学生らに奨学金を貸与する独立行政法人日本学生支援機構が07年末で抱える滞納3カ月以上の「未回収金」の総額は2253億円。 | |
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[H22年2月22日] 1週間ほど、真夏のニュージーランドを旅行してきた。日本ではこの国の教育や子育て事情について、ほとんど知られていないが現地でガイドをしていた日本人女性(夫がニュージーランド人)の話はすこぶる興味深いものだった▼それによるとニュージーランドでは「子は宝なり」の考えが徹底していて、「12歳までに子ども1人では留守番をさせない」そうだ。“危険”から身を守るのを口実にしていて、その考え方は、どこの家庭でも徹底しているという、信じられない話だ▼12歳を過ぎて、外出を許されるのだが、それも独りでは出かけられない。14歳までは、友だち同伴でないと許可されないのだという。日本でいえば、中学生になっても“独り立ち”できないことになるが、そのガイドさんも「親の考え方が過保護なのか、危険防止のためなのか、分からない」と言っていた▼その半面、15歳になると、自動車運転免許の資格が得られるのだという。14歳になってもまだ子ども扱いされていたにもかかわらず、15歳になった途端に、「運転免許をどうぞ」というその“落差”には理由があるに違いないと推察した▼恐らく、その“落差”は、責任感のある大人意識を持たせるための教育方針なのではないか。どこかの国では、毎年、大人(20歳)になるための聖なる儀式(成人式)に、子どもっぽい狼藉を働く者が後を絶たない。それに比べると、15歳の成人はずっと立派かもしれない。日本にも古来、元服という儀式はあったが……。 |
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[H22年2月18日] 読書好きな子どもを育てようと東京都江戸川区教委はこのほど、来年度から区立の幼稚園と小・中学校の全111校・園で「読書科」を新設すると発表した。計画では、各校・園で朝10分間の「朝読書」を年間100日計16時間40分程度実施する。読み聞かせの中身や推薦図書の紹介などの具体的な取り組みは各校・園で検討する。平成24年度からは年間35時間行う計画だ▼「読書」に多くの時間を割くことに反対意見はほとんど聞かれない。大きな教育効果が期待できるとみられているからで、担当者も「活字離れを食い止め、考える力がつき、人生をよりよく生きる糧になることを期待している」と話す▼こうした独自の科目導入は15年度から始まった「構造改革」によるもので、20年度からは、学習指導要領によらない教育課程については、学校や地域の特色を生かして文部科学大臣が「教育課程特例校」として指定する制度になった▼文科省によると、昨年4月現在、同制度による指定を受けている設置者は全国で125件。その多くは英語科などの外国語教育に充てられているが、東京都世田谷区教委の「日本語科」、品川区教委の「市民科」、青森県八戸市教委の「立志科」などもよく知られている▼それらの実践は、全国でも珍しいだけでなく、行政の仕事としてはたいへんしゃれた事業といえよう。活字離れ、読書離れが進む中で、江戸川区の取り組みが“江戸川方式”といわれるほどの成果をあげることを、大いに期待したい。 |
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[H22年2月15日] 鳩山政権の有力な支持母体である日教組の中村譲中央執行委員長は「民主党の教育マニフェストは、われわれの考え方を取り入れたもの」と胸を張るが、2月1日放映の「たけしのTVタックル」(テレビ朝日系列)で「そんなことはない。党独自の考えを打ち出したものだ」と否定する議員がいた▼桜井充参議院議員だ。温厚な人柄に似合わず、厳しい口調で日教組の全面的な関与を否定していた。新政権と日教組との関係は、川端達夫文科相就任時の委員長表敬訪問、日教組の定期大会への文科省政務官の59年ぶり出席など、蜜月ぶりは誰が見ても明らか▼それが造反的な発言をする議員が出たことで民主党内が必ずしも一枚岩ではないと露呈した。テレビという公の場で、日教組に距離を置く議員がいたのが証明されたわけで、今後ともこうした波乱は避けられない▼現政権で教育の「政治的中立性」を確保できるかも焦点になっている。昨年1月、日教組出身の民主党の輿石東参院議員会長が「教育の政治的中立なんてあり得ない」と発言し物議をかもした。額面通り受け取れば、教育基本法を逸脱する発言だ▼これに対し鳩山首相は、2月2日の衆参両院の代表質問への答弁できっぱりと「教育が政治的な中立性をとるのは当然だ」と回答し、輿石発言を否定した。党幹部の輿石氏自身は撤回には至っていない。この際、日教組は教育の「政治的中立」の順守を明言するのが肝要だ。また現政権は日教組との関係を明確にする必要がある。 |
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[H22年2月11日] 「いのちを、守りたい。いのちを守りたいと、願うのです。生まれくるいのち、そして、育ちゆくいのちを守りたい」。鳩山首相が1月19日の衆参両院本会議の施政方針演説でこう切り出した▼国民受けのする政治哲学を披れきしたかったのだろうか、「いのち」という言葉を24回も使い、自らの政治理念である「友愛政治」の実現を訴えた。ただ、その政策となると「働く人々のいのちを守り、人間を孤立させないために、まずは雇用を守ることが必要」「若者、女性、高齢者、チャレンジドの方々など、すべての人が孤立することなく、能力を生かし、生きがいや誇りを持って社会に参加できる環境を整える」など、当たり障りのない内容だ▼教育に関しては「新しい未来を切り開くとき、基本となるのは、人を育てる教育であり、人間の可能性を創造する科学です」とし、「人格教育」を強調。その上で、子ども手当の創設、高校の実質無償化、幼保一体化による保育サービスの充実などをあげている▼これらの政策は、すでに来年度予算案で盛り込み済みで、新鮮さは感じられない。唯一、新味といえるものは、自立と共生を基本とする人間社会の構築を目指した「新しい公共」円卓会議を設置したこと。施政方針演説2日前にも、同会議の初会合を開き、議論を開始したと明らかにするほどの念の入れようだ▼この会議での「新しい公共」の提言が、人間回復の基盤となり、日本に様々な面で、活力を与えることになるか注目したい。 |
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[H22年2月8日] 教育の営みの中で、最も難しいことの1つに「国際理解教育」をあげる専門家が多い。異文化理解教育、多文化理解教育も同じ範疇である。多文化の子どもたちが混在する学校でも、学習・生活指導面で“難儀”している実態があるという▼その原因は、教育の指針が明確でないことにある。手探り状態なのだ。そんな中で、東京学芸大学の吉谷武志教授の論説「教室で多文化の子どもが学ぶ今こそ、新しい教育実践のチャンスです」(はくほう児童教育通信4号)を一読して、胸のつかえが下りた▼吉谷教授によると、これまでの国際理解教育は海外の文化や社会、歴史などを知識として学ぶという傾向が強かったが、現在、求められるのは「自分の隣にいて、一緒に暮らし、一緒に学ぶ多文化の子ども、あるいは外国の文化の中で育った子どもを理解する教育」なのだという▼これを「多文化が共生する社会」と呼び、必要な能力として、異文化を背景に人間同士が交流する際の「リテラシー」と「トレランス」(寛容)をあげ、特に、「異文化間トレランス」が必要だとする▼その上で、「他の文化とのふれあいや摩擦を通して、クラスみんながともに人間として成長する。それが多文化が共生する社会における教育の目指すべき姿であり、新しい教育実践のチャンスである」と述べている。このトレランス(寛容)教育の考え方は多文化共生社会だけでなく、通常の日本人だけの教室でも、取り入れてほしい手法である。その意味でこの論説は、大変貴重で革新的なものさえ感じる。 |
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[H22年2月1日] 中央教育審議会(三村明夫会長)は1月22日、新政権発足後、都内で初の総会を開いた。注目されたのは、今後、新政権が中教審をどのように扱っていくのか、川端文部科学大臣の諮問項目、委員の顔ぶれなどだった。民主党は野党時代、「中教審の考え方は、中央集権的にすぎる」として、必ずしも好意的な姿勢ではなかった。このため、中教審に替わる新しい審議機関をつくるのではないかとの憶測もあった▼それが従来の中教審が引き継がれたことで、拍子抜けの感も否めないが、鳩山内閣のブレーンの寺島実郎多摩大学長が留任し、労組代表の加藤友康情報産業労働組合連合会中央執行委員長が新しく委員になったことで、民主党色を出そうというねらいだろうか▼この日、川端文科相は、国会審議のため欠席したが総会の場でも新政権の“脱官僚”が貫かれた。文科省側の発言は、鈴木寛、中川正春両副大臣と高井美穂政務官の政務三役が主導権を握り、居並ぶ事務次官、局長クラスの発言はほぼ封じられた▼ちょっと気になったことであるが、鈴木副大臣は「子ども手当」に触れた際、「高額所得者には手当を返上して、寄付をお願いしている。ほかにいい方策があるならば、中教審で検討してほしい」と発言した▼「子ども手当」の支給は、重い財政支出を伴うビッグな政策であるにもかかわらず、いまごろになって中教審に宿題を課し、責任の一端を担わせることをよしとする考え方はいかがなものだろうか。今後、大臣がどんな教育課題を諮問するかも気になるが……。 |
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[H22年1月28日] 混迷する政治・経済・社会状況の中で、人間の生き方・在り方につながる新たな価値観が待望されている。そのヒントになるものとして、博報堂生活総合研究所が毎年調査し、翌年の生活者の行動様式を予測する「生活動力」というレポートがある▼同研究所が昨年10月に実施した聞き取り調査(対象は15〜69歳の男女約3000人)によると「思い切ってやめたことがある」44%、「思い切って新たにはじめたことがある」44%と二分された。そこから引き出された今年のキーワードは「態度表明社会」▼自分の立場をはっきりと表明するのが苦手といわれる日本人。「態度表明」とは時代を乗り切る必然と同時に、新しい幸せの発見行為でもあると提言。聞き取り調査で寄せられた意見の中には、そんな例が数多く紹介されている▼「進学塾に行くのをやめた。自分で計画を立てて勉強を進められるようになった」(19歳女性、大阪府)、「ヨガを始めた。些細なことで腹が立つことがなくなった」(36歳男性、神奈川県)、「主人が職場から帰宅する前に寝るのをやめた。子どもに関する会話が増えたことで、家事と子育ての両面で私が楽になった」(28歳女性、埼玉県)など▼ちょっとしたことでも「態度表明」できず、現状黙認のままやり過ごしてしまうのが世の常。お互い、今年こそは、何か1つ「態度表明」したいものだ。学校でも先生方が率先し、子どもたちに「態度表明」の重要性を教えていただきたいものである。 |
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[H22年1月25日] 文藝春秋2月特別号に、「『天下り』161団体412人徹底調査 完全リスト」と題する特集レポートが掲載されている。天下りした元公務員の年収など細部にわたって調べ上げた力作である▼ここでは、天下りを「役所による公務員に対する再就職の斡旋」と幅広く定義、その実態を赤裸々にしている。行政刷新会議の事業仕分けでは、独立行政法人農畜産業振興機構が取り上げられた。この団体の理事長の年収は1930万円、理事クラスで1500万円という驚くべき? 高額だった▼レポートには、文部科学省の天下り公務員の年収(08年推定)も調べているが、理事長クラスだけをみると、独立行政法人国立青少年教育振興機構が1791万円、教員研修センターが1849万円、独立行政法人日本学術振興会が1824万円、独立行政法人放送学園大学が1751万円などとなっている▼これらの団体を単なる「天下り機関」と短絡的にとらえることに疑問も感じるが、国家公務員のトップである事務次官の推定平均年収が約2300万円というから、それよりも控えめに設定しているといえる。ただ、庶民の実感として、このご時世に天下りした元公務員の年収の高さは異常に見える。ちなみに、内閣総理大臣の年収は4100万円、教師の年収は740万円である▼民主党のマニフェストには、「天下り、渡りの斡旋を全面的に禁止する」とあるが、まだ実行されていない。どのような手法で行われるか、見守っていきたいが、それこそ国民の納得のいく透明で公平な作業を期待したい。このあとは国会議員の番である。 |
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[H22年1月21日] 1月18日の通常国会で、その扱いが注目された「子ども手当」の支給法案が高校の無償化法案などとともに提出された。民主党のマニフェストの目玉政策であるこの手当は、中学卒業まで子ども1人当たり年31万2000円(月額2万6000円)を支給(平成22年度は半額)というビッグな内容だ▼この手当法案の国会提出の直前、長妻昭厚労相は、全国知事会などの代表に、一部地方負担になったことに対し、「意向に沿えず、深くおわび申し上げる」と謝罪、地方にも負担を強いることになった▼土壇場になって、このような「謝罪」をすること自体、見苦しいとしかいいようがない。当然、マニフェストの作成時点で、「国と地方の負担問題」に、確たる方針を立てておくべきだったのではないか。ことほど左様に、この法案には、議論抜きの安易な発想が目立つ。やはり選挙向けの政策としかいいようがない▼「子ども手当も事業仕分けの対象にしないのか」という疑念もよぎるが、「マニフェストは対象にはならない」というのが政府の方針である。議論もせず、仕分けもしない事業の国会提出に危うさを感じる。国会の場での徹底した議論が望まれる▼事業仕分け人でもある片山善博慶應義塾大学教授(前鳥取県知事)はこの手当に異議を唱え、「待機児童ゼロをめざして保育所の整備を促進したり、学校現場のスタッフを増やしたりすることのほうが優先されるべきではないか」(文藝春秋2月特別号)と述べている。こういう考えは受け入れられないのだろうか。 |
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[H22年1月18日] 世界の高校生が化学の知識と応用力を競う「国際化学オリンピック」が今年7月に日本で初めて開かれる。42回目の開催にもかかわらず知名度が低いのは、1つには推進役の日本科学オリンピック推進委員会(JSOC、江崎玲於奈会長)の設立が07年3月と遅かったのが原因か▼ただ、日本の高校生の成績は、後発組としては結構よく、03年のギリシャ大会から09年の英国大会まで26個のメダルを獲得。特に、英国大会には64カ国の代表250人の生徒の中で奮闘、日本は台湾、中国、韓国、ロシア、シンガポールに次いで第6位(金メダル2、銀メダル1、銅メダル1)の成績を収めた▼科学オリンピックは「化学」のほかに「数学」「物理」「生物」などの国際大会があり、いずれも科学への関心を高め、参加者の才能を伸ばし、科学技術に優れた人材を育てることを目的としている▼「知」を競う科学オリンピックで好成績を収めるのも結構なことだが、問題は多くの子どもたちに、いかに科学(理科)に対する関心を持たせるかだ。それこそ6位程度で喜んではいられない▼JSOCが昨年11月に全国の中・高校生とその親などを対象にした「科学オリンピックに関する意識調査」の結果によると96・3%の生徒が「日本の科学の未来に期待ができる」と回答。また、中学生が好きな科目のトップに「理科」(44・3%)をあげるなど、科学に対する興味関心は高かった。科学の振興が国の振興につながることを肝に銘じたい。 |
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[H22年1月14日] 鳩山由紀夫首相の実弟で、前総務大臣の邦夫衆議院議員(自民党)は、しばしば愛嬌のある失言?をする人で知られるが、ライフワークの「環境」「教育」「農業」を3本柱に政治活動を推進する稀有な存在▼チョウの研究家としても有名で環境問題にかけては、独自の考え方の持ち主。最近では、NPO法人地球船クラブの機関誌「地球船」(1月号)に「温暖化だけに注目するのはピントはずれ」の題でエッセイを書いている▼ここでは「地球環境問題の解決とは、世界や社会を桃源郷に近付けること、すなわち人間らしい生活が回復され、人間の豊かな感性が花開き、自然との共生のうちに『しあわせの実感』が増幅されることを目指すことではないのか。その根底には、自然のあるがままの姿、すなわち生態系の保全が重要な位置を占めていなければならない」と書いている▼地球環境問題を温暖化問題に短絡化して議論するのは間違いであり、ピントはずれだというのだ。「兄が2020年までに25%削減と宣言したのもその延長線上にある」とも批判。また、自然と共生する循環型社会を可能にするには「少子化」も是認すべきとの大胆な発言もしている▼その上で「雑木林が皆伐採されて別荘地になり、大草原がゴルフ場に化けたり、工場団地が造成されることこそ、自然を、そして究極的には、人類をも死に追いやる道」だとし、あくまでも生態系の保存こそが重要だとする。自然との共生を旗印にした新党結成もお考えなのだろうか。 |
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[H22年1月11日] 昨年末、都心からの日帰りバスツアーで、山梨県内の美術館めぐりを楽しんだ。訪れたのは、山梨県立美術館(甲府市)、清里北澤美術館(北杜市)、昇仙峡影絵の森美術館(甲府市)の3カ所である▼同県立美術館には、ミレーの代表作である「種をまく人」など、約70点が所蔵されており、“ミレーの美術館”とも呼ばれている。また、北澤美術館には、ガレ、ドームなど、19世紀末のフランスで咲いたアール・ヌーヴォーのガラス工芸の作品を所蔵。影絵の森美術館には、影絵で世界的に知られる藤城清治の代表作品が収められている▼いずれの美術館もジャンルを超えて第1級の作品が数多く収められていることに驚いた。日本の美術館の水準の高さを垣間見る思いだった。美術館の数の多さからいえば、東京が100館を超えてはいるものの、60館近くある長野県の例でも分かるように、地方の美術館の充実ぶりも目立つ▼しかも、地方の美術館は、学校教育にも大きく寄与しているのが特色だ。出前授業から一歩前に出た取り組みもしている。例えば、山梨県立美術館では、「教師のための鑑賞研究会」「講師派遣」「移動アート・ボックス」(教材の貸し出し)などの事業を展開している▼政府は、来年度の「文化予算」に関しては、「引き続いての振興」を打ち出してはいるものの、隙あらば「予算縮減」を狙っているのだ。為政者には、美術館を守ることが文化を守ることにつながることを知らしめる必要がある。 |
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[H22年1月1日] 明けましておめでとうございます。正月早々、政治的な話題で恐縮だが、昨年12月21日、鳩山首相の政治決断?で「子ども手当」を所得制限なしで支給することが決まった▼この決定の前、所得制限を課すかどうかで与党内で迷走を続けた。小沢党幹事長を含む所得制限派の中には「2000万円で線引きしたらどうか」といった荒唐無稽な議論もあったが、最後は、首相が幹事長の意見に逆らって所得制限なしということになった▼手当の巨額な支出(半額実施の22年度で2.7兆円)にも驚かされるが、気になることがある。それは、この手当が「次代の社会を担う子ども一人ひとりの育ちを社会全体で応援する」とあり、「子育ての基本は家庭にある」との考え方が欠落していることだ。「社会全体での子育て支援」のニュアンスが強すぎて、「家庭での子育て」がないがしろにされているといってもよい▼経済学者の中には「現在の経済不況は、100年に一度あるかどうかの厳しい状況だ」という人もいるが、昭和20年代初めに子ども時代を過ごした者にとって、当時はいまと比較できないほど貧困の中にあった。都会地では焼け跡に掘っ立て小屋を作り、親子が肩を寄せ合い生き抜いてきた▼その時、「生きる力」を支えたのは「家族」であった。貧しい食事内容だったが、ちゃぶ台を囲み、楽しく会話をしながら食事をした原風景は、いまでも鮮明に思い出すことができる。子育ての社会支援も結構だが、家庭支援こそ子育ての原点だ。 |
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[H21年12月21日] 今年の世相を表す漢字は「新」に決まった。財団法人日本漢字能力検定協会(鬼追明夫理事長)が12月11日に発表した。漢字の奥深い意義を再認識してもらおうと、毎年年末に実施しているもので今年は応募数が約16万票に達した。「新」が第1位に選ばれたのは、「世の中が新たな一歩を踏み出した今、新しい時代に期待したい」という願いが強いからだと分析する▼「新」が選ばれた理由を、協会は大きく5つに分類。(1)新政権の誕生(政権が交代し、新内閣が発足、米国で新大統領誕生)(2)スポーツ界の新記録(イチロー選手やボルト選手の新記録)(3)新型インフルエンザの猛威(世界的な新インフルエンザの大流行)(4)新制度の導入(裁判員制度、エコポイント・エコカー減税)(5)未来へ向かって新しい時代の幕開け(新しい環境技術、平和への新たな期待)である▼ただ、応募者は「新」を明るいイメージとしてとらえているとは限らない。新インフルエンザの「新」を選ぶ人が結構多かったことからもそれがうかがえる。ちなみに、2位以下は「薬」「政」「病」「変」などの順で、暗いイメージの漢字を選ぶ傾向が強い。「鳩」は第8位だった。ちなみに過去5年間の「今年の漢字」の第1位は古い順に「災」「愛」「命」「偽」「変」だった▼鉄筆子が何を選ぶのかと問われれば、国家の危機の「危」、未曾有の赤字財政の「赤」、行政刷新会議が乱発した事業廃止の「廃」をあげたい。教育に限定するならば、やはり学力向上の願いや学力調査の関連で「学」はどうだろうか。 |
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[H21年12月14日] 少し気が早いが、正月の話題を取り上げたい。先月、「お正月ニッポンプロジェクト」というサイトが設立された。“正しい日本のお正月”を子どもたちに伝承していくために、『日本人のしきたり』(青春出版社刊)の著者である飯倉晴武氏が発起人となり、立ち上げたもの▼本来、日本のお正月は、「家々に1年の幸せをもたらす『年神様(としがみさま)』をわが家に迎え、新年のご馳走である『おせち』を食べながら家族の1年の幸せを願う行事」とある。ちゃぶ台に整えられた「おせち」を囲んで一家団らん、家族の幸せを願うという崇高ともいえる原風景は、いまではあまり見られなくなった▼20代〜60代の主婦を対象にした「お正月に関する意識と実態調査」(09年、紀文食品調べ)によると、「母親が子どもに伝えたい“日本文化”」の1位は「お正月」(88.4%)だったが、「お正月のいわれ(年神様)」の認知率はわずか3.3%。お正月文化の象徴「おせち」を例年自宅で用意するのは、58.6%▼設立されたプロジェクトは、来年のお正月に向けて、若い世代が「お正月」や「おせち」に強い関心を持ち、態度の変化を起こすことで、上の世代にも伝播していくのがねらいである▼このプロジェクトの活動内容は、(1)キャンペーンサイトでの「お正月のいわれ」に関する啓発活動(2)「としがみさまをおうちによぼうよ大作戦!」キャンペーンの展開(3)親子向けおせち作りイベントの実施――が柱。これで日本古来のよき伝統文化の復活を期待したい。 |
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[H21年12月10日] いま、ペン先で文字に触れると即時に音声を聴くことができる書籍の出版事業「ペン読」が、注目されている▼医学書出版の潟Aプライ(丹羽ノエラ社長)が12月1日から販売を開始。学生などを対象にした語学教材、朗読で楽しめる漢詩や聖書、親子向けの英語読本など、幅広い世代が楽しめる書籍が出版された▼「音声ペン」の基礎技術は、台湾で開発されたこともあって、東アジアを中心に普及が急速に進んでいるとか。特に、語学教材に関しては、高校の英語教科書や北京オリンピックの際に海外選手用の英語教材として使用され、短期間に学習効率を向上させるツールとして実績をあげているという▼また、脳の活性化研究に携わっている古賀良彦杏林大学医学部精神神経科主任教授によると、「『ペン字』は、視覚(単語や文章、イラスト情報)あるいは聴覚(発音や対応する外国語・日本語情報の音声)のいずれか一方ではなく、同時に2つの経路から情報が脳に伝達されるため、複数の五感を同時に刺激するという脳本来の情報伝達経路に近く、脳が活性化し、情報処理能力・認知能力を高める」と考察している。これは画期的な発見で、視覚障害者や聴覚障害者の方々の読書環境を整備する上でも朗報といえそうだ▼いまのところ、7書籍の出版に限られているが、より改良を重ね、出版のラインナップを充実させてほしい。読書離れがますます激しさを増している中で、出版不況から脱する一助になることを期待したい。 |
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[H21年12月7日] 「将来、歴史の法廷に立つ覚悟でやっているのかと問いたい」。ノーベル賞受賞者の野依良治(財)理化学研究所理事長は行政刷新会議の事業仕分けで、科学技術関連事業の予算削減が相次いでいることに対し、11月25日に開かれた先端科学調査会の席上、仕分け人を厳しく批判した▼その理由として「科学技術は日本が国際競争を生きる術であり、国際協調の柱だ。これを削減するのは不見識」「他の先進国と比べて科学技術関連予算は格段に少ない。10年後、日本は取り残される可能性がある」などと述べた▼同じ日、ノーベル賞受賞者の江崎玲於奈、利根川進、野依良治、小林誠の4氏と、「フィールズ賞」(数学)を受賞した森重文氏が都内で記者会見し、事業仕分けをこぞって批判した。この中で利根川氏は、「米国では、経済が悪いときでも科学技術に投資する。今回の仕分けは別世界のことだ」と皮肉った▼野依氏の批判に対して、同会議の加藤秀樹事務局長(構想日本代表)は翌日、名指しで「世界最高レベルのコンピュータをつくる科学者を育てることは否定しない。だが、1000億円超のお金を使うことがいかに間尺に合わないか。(仕分けの議論を)見も、聞きも、知りもしないで『不見識』と言うのは、非科学的な人だ」とした▼これは的外れの反駁だ。加藤氏は「仕分け」のプロで科学には縁のない人物。その人物が野依氏を「非科学的」呼ばわりするのは、不見識。仕分けの結論どおりに事が運んだら、この人が歴史の法廷に立つ最初の人かもしれない。 |
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[H21年12月3日] 11月23日は「勤労感謝の日」。法律で「勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」ことを趣旨にしている。飛鳥時代、収穫物に感謝する大事な行事として始まった新嘗祭の日が第2次世界大戦後の占領政策によって、天皇行事・国事行事から切り離される形で改められたのがこの日である▼米国には「感謝祭」(Thanks giving)がある。「勤労感謝」の日とほぼ同時期の11月第4木曜日に当たる。また、「勤労の日」(Labor Day)というのがある。9月第1月曜日に祝うが、日本のメーデーと趣旨が似ているのだそうだ▼日本の場合、「勤労をたっとび、生産を祝い…」といった祝賀気分よりも、ただ単に「お休みの日」といった気分の方が優先していると思われる。この日の意義をもう一度見直し、明確に「勤労や生産に対する感謝の日」と位置づけ、子どもたちにしっかりと教える必要があろう▼新学習指導要領では、学校教育におけるキャリア教育が重視されている。「キャリア教育」とは、「子どもたちがこの激しい社会の変化に対応していく能力、主体的に自己の進路を選択・決定できる能力、社会人・職業人として自立していくことができるようにする教育」とある▼しかも、小学校段階から発達段階に応じて実施する必要があると述べている。「勤労感謝の日」をただ単に「お休みの日」にするのではなく、勤労を通して立派な「社会人・職業人」になることを教える日にしてこそ意義があるが、行政刷新会議はキャリア教育にもメスを入れようとしている。 |
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