(読者の窓)伝えたい思い

5歳児の子供が、まりをつく数を競う遊びを楽しんでいました。保育室に声援が響き、まりをついていたあゆさん(仮称)が「数えていたけど、分からなくなっちゃった」と涙ぐみながら先生の所へ来ました。あゆさんは自分の思いを伝えることが苦手な子でした。先生は「応援がうるさかった? 一緒に数えてあげようか?」と言葉をかけ、たかしさん(仮称)も「もう1回やろう」と慰めました。

遊びが終わり、あゆさんが先生の側に来ました。「あのね、さっきのはそうじゃなくてね、応援はうれしいのだけど『あゆちゃん、あゆちゃん』って名前を言うのではなくて、数えてくれる応援がよかったと思ったの」と言いました。友達も「数えてあげる応援いいね」「そしたら分からなくならないね」と言いました。

あゆさんは、自分の気持ちをきちんと伝えたくて、どうしたら伝わるか懸命に考えました。友達が応援してくれる気持ちはうれしかったから、その思いを大切にした方法を自分なりに考え、先生や友達に伝えたかったのでしょう。友達もあゆさんの気持ちを聞き「いいね」と応えました。

さまざまな思いを話したり、相手の思いを聞いたりする経験を繰り返すことで、自分の気持ちに向き合って考えることができるようになります。また、きちんと受けとめてもらえた経験は、話したいという思いにつながります。

私たちは、どんな気持ちも温かく受けとめ、寄り添うことを大切にしたいと思います。

(伊藤知穂美・名古屋市立植田幼稚園長)