管理職研修「審査論文をどう書くか」(88)

審査論文テーマ

教職員の多忙化という言葉がさまざまな場で聞かれます。校長は、多忙な現状を改善し、教職員が情熱と意欲をもって働くことのできる、活気ある職場にする必要があると考え、教頭であるあなたに意見を求めてきました。あなたは教頭としてどのように対応しますか。多忙な現状の原因を踏まえて学校で実施できる解決策について述べなさい。


平成31年1月に、中央教育審議会が学校における働き方改革について答申を公表した。校長・教頭の管理職には、これまで以上に学校や地域の実情に応じた具体的な改革が求められている。

本テーマは、「教職員の多忙な現状の原因を踏まえて」「学校で実施できる解決策」を「教頭として」「具体的に」述べることを求めている。そして、それは校長の願いである「活気ある職場づくり」へ向かうものでなければいけない。

そこで、「業務改善の推進」として業務の全体量をいかに軽減させるかを、「組織体制の強化」として組織の中で個人をどう生かすかを、「職場の環境整備」として働きやすい雰囲気をどうつくっていくかの3点を柱に論じてみたい。

はじめに

学校を取り巻く環境が複雑化・多様化し、学校に求められる役割が拡大する中、教職員の長時間勤務の改善が課題となっている。一方で教職員の長時間勤務は、教育活動の質を下げる要因となったり、疲弊による精神疾患を誘発したりする危険性があり、学校自体の教育力の低下が懸念されている。

そうした中、教職員が新たな教育課題に対応しながら、職務を着実に遂行していくためには、子供と向き合える時間を確保するとともに、教職員一人一人が持てる力を高め、発揮できる環境を整えていくことが急務になっている。

そこで、教頭として校長の意をくみ、次の三つを柱に勤務環境の改善を進め、活気のある職場づくりを推進したい。

1.業務改善の推進

子供と向き合える時間を確保するためには、教職員の多忙化解消は欠かせない。まず教頭として、学校評価と連動した業務改善を提案する。学校評価に在校時間の管理や会議の効率化、事務の合理化、行事の精選等の評価項目を設定して実施する。そして、実施状況を全職員で点検・評価し改善策を立てる。このようにPDCAサイクルの視点をもって、学校全体で組織的に業務改善に取り組みたい。

また、業務改善を推進するためには、地域や家庭の理解と協力が不可欠である。そのためにも学校関係者評価を活用して、地域とともにある学校づくりへ向かうよう外部に発信して理解を得るようにする。そして、学校現場の負担軽減という観点から、地域や家庭に「お願いすること(連携)」「手伝ってもらうこと(協力)」「ともにすること(協働)」についての理解を深めていきたい。

2.組織体制の強化

教職員の年齢構成が大きく変わっていく中、今後も教育の質を保証し続けるためには、学校運営組織そのものを見直すことが重要である。具体的には「校務分掌を統合、単純化してより包括的・系統的なグループに整理する」「事務職員の専門性を生かしつつ、校務運営への参画を一層拡大する」「校務分掌は必ず2人以上で担当させ、ベテランと若手、中堅と若手といった異年齢チームで組み合わせる」「スクールカウンセラーや学校支援員など教員以外の専門性を有する人材を適材適所に配置する」といった視点で見直しを図る。そして役割分担と責任を明確にするとともに、成果と課題を明らかにさせ、教職員の意識改革とやる気の向上を図りたい。

また同時に、キャリアステージに応じた人材育成を進める。例えば、経験豊かなベテラン教員による模擬授業、新しい技術を持つ若手教員によるICT研修などを開催し、一人一人がその長所を生かし、組織の一員として自覚できるように認め、評価していきたい。

3.職場環境の整備

これらを通じて必要なことは、十分なコミュニケーションを図ることである。私は教頭として、日常的な声かけや指導・支援等を通して日頃から教職員にねぎらいの声をかけながら、学校全体が一つのチームとなり、お互いに助け合う雰囲気となるように努めていく。教職員の在校時間についても把握しておき、時間外業務が過多にならないように管理に努めたい。

また、校長の指導のもと、教務主任に指示して「放課後に会議等を入れない日を週に1日位置づける」「週予定表に自分の予定を記入できる欄を設け、自分や家族の予定を記入させる」など、年次休暇を取得しやすく、帰りやすい環境を整え、教職員のワーク・ライフ・バランスへの意識も高めていきたい。

おわりに

以上三つの取り組みを柱に、勤務環境の改善を進めていくが、人によって負担感の感じ方、多忙感の感じ方は異なる。教頭として教職員が相談しやすい関係づくりを心がけ、メンタルケアにも努めながら、働きやすくやりがいがあり、活気のある職場づくりに全力を尽くす所存である。