(提言)古びた1枚のメモから

三河小中学校長会長 壁谷 幹朗

「新任校長10の気づき」、古びた1枚のメモにはそうありました。

これは私が校長1年目を終えたときに書き留めたものです。

◯校長は、職員の力を引き出すことが最も大きな仕事。職員それぞれの持ち味をしっかり見極めることが大切である。

◯職員の主張に7分の利があっても、多くの場合、校長の3分が通る。そこに落とし穴がある。…

新任校長時代、緊張の中で、あるべき校長像を懸命に模索していました。改めてメモの言葉を読み返してみると、今も深くうなずくことばかりです。それと同時に、未熟さゆえに、うまく進められなかったことがいくつもよみがえってきます。

しかし、年を重ね、さまざまな経験を積むなかで、「これだ」と思う出来事がいくつかありました。今回は、その一つを紹介します。

それは、今年の5月に行った運動会でのことです。勤務校である蒲郡南部小学校では、毎年、開会式でラジオ体操を披露しています。それなら、多くの学校でも目にする光景だと思います。

しかし、今年のものは、ひと味もふた味も違いました。指の先まで気合のこもった「僕たちの体操を見てほしい」というものだったのです。全校児童が見事に一つになっています。感動が腹の底から込み上げてきました。

それは、昨年、5年生12人が「全国ラジオ体操コンクール」に挑戦することから始まりました。本校のラジオ体操の伝統が、それを決意させたのだと思います。「初代、チーム蒲南魂」の結成です。お互いに見合いながら、練習を重ね、仕上げていきました。私も、その感動を全校に伝え、応援しました。

その結果、10月の発表で、参加数652チーム中、第4位の「優秀賞」に輝いたのです。協力してくださった地域の方、職員の力に支えられて勝ち取った成果です。これに子供たちは自信をつけました。

6年生になった子供たちは、大型連休前から下級生の教室を回って練習を支えるようになりました。職員もこの姿に感動しました。全校で目指すものが見えたのです。感動の連鎖が、人の心を動かしたのです。

私はこの時、これからの校長は、「感化力」だなと思いました。

古びた1枚のメモに、また新たな言葉が加わりました。

(蒲郡市立蒲郡南部小学校長)

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