(提言)校長による道徳授業支援

名古屋市立小中学校長会副会長 森 久晃

今年度、中学校においても道徳が教科としてスタートした。

戦後教育史をひもとけば、道徳性育成の役割が、学習指導要領の社会科の目標として明記された昭和22年、道徳の時間が特設されたのは昭和33年。道徳を話題にすることは、すなわち修身・教育勅語・軍国主義等を連想させるとして、タブーとされていたこともあった。

以来、極めて長い年月が費やされ「特別の教科」道徳科が誕生した。その経過を考えると、今回の学習指導要領改訂は、道徳の指導法を学んできた私にとって非常に感慨深い。

文部科学省が掲げた教科化のキーワードは、「質的転換」「量的確保」である。つまり、退屈な授業を改善し、年間35週分の授業が確実に行われることを求めている。

しかし、求められる現場の管理職としては、「やらねばならぬ」と義務感が先行し、ただでさえオーバーワークである教員への負担増加になるのではと心配になる。

本校では、教科書に加えて、文科省より積極的な活用を推奨されている地域教材「明るい心」や、学習記録の蓄積ができる名古屋市版「道徳ノート」を使い指導を進めている。その一方で、校長も協力できる試みを教員へ紹介してきた。以下に記す。

①全校一斉道徳授業:朝会で校長が話題を提供したり、道徳主任が校内放送で資料を提示したりした後、一斉に各教室で話し合いの時間をもつ「全校道徳」の授業を実施すること。

②ローテーション授業:2クラス以上ある学年では、教師が指導内容を分担して教材研究をし、同じ授業を教師が移動して、それぞれのクラスで行うこと。この結果、授業準備は半分で済む。3クラスの場合は、準備が3分の1になる。

③放送番組の活用:校長室の録画機であらかじめDVD録画したNHKの教育TV番組を使い、子供たちの討論が進む授業を計画すること。番組内容は、主人公が二者択一の場面で悩む構成になっている。

蛇足だがここで留意すべき点は、道徳科では指導すべき内容項目が明確に定められており、吟味せずに教材を入れ替えるのは不適切となる。例えば「信頼・友情」の項目に極端に偏って指導することは不可であり、全ての項目について年間で指導しなければならない。

今後も子どもにとって効果的であり、かつ教員にとっても役立つ授業支援の在り方を、仲間とともに探り発信していきたい。

 (名古屋市立栄小学校長)