(読者の窓)話す楽しさ

授業の中で伝え合いや話し合いが大切にされています。では、コミュニケーション能力を一から育てないといけないかというと、素の姿を見る限り子供たちは力を結構もっているようです。

登校時間に立ち番をしていると、顔を向けてあいさつできますし、こちらが話しかけたことにきちんと反応が返ってきます。言葉のキャッチボールができるのです。やりとりの結果、なるほどと思わされることもあります。

「今日は服が黒でそろっているね」

「うん、僕、黒ばっかりなんだ」

「へえ、黒が好きなんだね」

「習字を習ってるからだよ」

――といった具合です。

授業を生活と結びつけるにあたっては、学習内容につながりをつくるとともに、気楽におしゃべりする楽しさを持ち込めるとよいと思います。

ある時、学校保健委員会の場で歯科衛生士さんから「みなさんはお気に入りの歯磨きグッズがありますか」と質問されました。出席していた子供たちは歯磨き談義で大いに盛り上がりました。また、与えられたテーマについてグループ内で順番に話をしていく『アドジャントーク』を楽しんでいる学級もあります。

このような機会を通して同じ話題について話す楽しさを味わわせつつ、一人一人の頭に「!」と「?」がたくさん浮かんで、考えたい、伝えたい気持ちになる授業を構想できればと思います。

両者がかみ合うことにより、一人一人の違いは豊かさにつながっているという感覚が養われていくように願っています。

(中嶋桂・豊川市立金屋小学校長)