(こだま)この秋、県内のいくつかの…

この秋、県内のいくつかの学校で研究発表会が開催されている(本紙愛知県版8月号に掲載)。さまざまな研究テーマの中に、今日的な教育課題が凝縮されている。

平成23年の国立教育研究所が実施した「校内研究等の実施状況に関する調査」の結果がある。それによると、全校的な校内研究組織がある中学校は、教員間のコミュニケーションが十分にとれている。また、校内研究で統一テーマを設定し、組織的な取り組みをしている学校ほど授業の水準が高い。さらには過去5年の間に研究成果を公開したことにより、「授業の水準」が高まってきている……。

調査結果を待つまでもなく、授業が教師の本務であり学校教育の根本である以上、校内研究によってよりよい授業を求めていくのは当然のことでもある。

一方で、校内研究の難しさも少なからずある。例えば、ある小学校の研究主任のブログにこうある。「ゆくさきまっくら」(夏目漱石『草枕』のパロディー)研究計画を立てながら、こう考えた。智に働けば角が立つ(「今の教育の流れが」といってもシラけてしまうよね)情に掉させば流される(「他にすることいっぱいあるよね」でもそれを汲んでいたら研究はできない)意地を通せば窮屈だ(「これがやりたい」研究主任が熱くなるほどみんなはついてこない)とかく研究主任はやりにくい。彼の憂鬱は続く。

「研究発表会をすると学校が荒れる」とまことしやかに言われたこともあった。性急に成果を求めるあまり、最も大切にしなければならない子供をおろそかにしたり、崇高な理念を追い求めすぎて研究が空回りしたりした結果であろう。「発表」が先行するのではなく、教員の授業力アップを狙った地に足の着いた校内研究こそ重要なのである。そのためには研究主任の強いリーダーシップと斬新なアイデアが必要になってくる。

「学ぶ者だけが教える資格をもつ」。教師への至言である。研究発表の舞台裏でそれぞれの学校の強い息遣いが聞こえてくる。

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