(教師力・人間力) 「人との関わりから学ぶ」

教師として駆け出しの頃、上司からの助言は、「周りの先生から学べ」でした。当時、大規模校勤務で、手本とすべき先輩が多くいらっしゃったので、指導法をまねたり、分からないことを聞いたりして、さまざまな指導技術を学びました。それが、教師人生を歩む上での礎となりました。今の時代に必要とされているOJTやチーム学校にあたるものは、当時にも自然にあったように思います。

「先輩に追い付け、追い越せ」を合言葉に無我夢中で歩んだ時代とは違い、今は教師一人一人に自ら考え判断する力や、限られた時間の中で職務を遂行したり課題を解決したりしていく力などが求められています。本校でも、若い先生が増え、組織にとって若手の育成が急務です。そんな中、日頃から職員に伝えていることの一部を紹介します。

気付く力を磨く

子供の見える行動を捉えて、その原因を探るようにすることが大切です。なぜなら、各教科における指導法の工夫・改善や、いじめ・不登校をはじめとする諸問題への対応などのヒントは、子供の表情や行動の中に隠れているからです。

ベテラン教師の何気ない対応に学び、子供が求めていることや子供が発するサインなどを見逃さないよう、普段から気付く力を磨き、見えない背景を意識しながら指導していくことが重要です。

気付きを、主体的な取り組みに生かす

教師という仕事は、やろうと思えば際限がありません。限られた時間の中で、自分に与えられた職責を果たすだけでなく、自らの気付きに基づき、子供にとって必要と考える取り組みを、自信をもって実行することが大切です。「目の前の子供のために」という思いが、教師という道を歩む上での強い志となり、将来の自分の支えとなります。

できるようになった子こそ、大切にする

授業や部活動、行事などでは、できる子や能力の高い子を中心に進む傾向があります。

しかし、学校の役割は、教師の援助を必要とする子のためにあると思います。できない子に目を向け、励まし、小さな成長を褒めて自信をもたせるという地道な取り組みが必要です。自分の指導・支援によって、できるようになった子こそ大切にすべきだと思います。

責任を果たすため、努力し続ける

校長だけでなく、学級担任、教科担当、部活動顧問などの役割を担う以上、教師には責任が存在します。

責任の重さを感じ、誠心誠意努力し続けることが、子供との信頼関係づくりにつながるだけでなく、保護者や地域の方から必要とされる存在であると自覚することにつながり、教師としてのやりがいを強く実感することができるようになります。

子供への誠実な思いを行動に移し、努力し続けることが、充実した教師人生を切り拓いてくれると思います。

(田中貞宣・稲沢市立明治中学校長)