(提言) 梅香る向こう…

愛知県小中学校長会副会長 井上 正英

「初春の令月にして、気淑く、風和らぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は、珮後の香を、薫らす」

始業式、この歌を投げかけられた先生も多かったのではないでしょうか。令和という元号からは初春の、日本の美しい情景が目に浮かびますし、鼻をくすぐるすてきな梅の香りさえ漂ってくるようです。

この5月に、新元号「令和」がスタートして半年が過ぎようとしています。Society5.0の到来、AI、シンギュラリティ、IoT…、どこか横文字に翻弄(ほんろう)されがちな昨今ですが、学校はどう変わろうとしているのでしょうか。

令和のスタートと時を同じくして、OECDの学びの羅針盤2030に、AI時代の人材に求められる能力が報告されました。

①新しい価値を創造すること

②責任を負うこと

③緊張やジレンマに向き合い克服すること

以上、三つです。たぶん②③は、今の学校が得意とするところでしょう。では①は? これこそ学校が変化していくポイントではないでしょうか。そのためには、まず子供たちに、学校生活や社会で起こっている問題に気付かせることです。そして解決に向けて着手すべきだという動機を与え、自らの力で改善や変革する経験、これを積み重ねさせるのです。ほんのささいな校則等の改善でも構いません。教師は子供の手柄になるようにみとり、学校にその土壌を耕し続けるのです。こういった風土をもつ学校で育っていった子供たちは、大人になって、きっと新しい価値を創造することでしょう。

1300年前の同じ梅花の宴、こんな歌も詠まれていました。

「梅の花 咲きて散りなば 桜花 継て咲くべく なりにてあらずや」

(今咲き誇っている梅の花が、もうじき散ってしまったなら、すぐに続いて、桜の花が咲こうとしているではないか)

酔わんばかりの満開の梅を目前にしているにも関わらず、また万葉の昔、花と言えば桜ではないにも関わらず、次に咲こうと、人知れず備える桜の存在に思いをはせています。

私たちも令和、そしてその後の時代を担う子供たちがどんな姿で花を咲かせるべきか、見通すことは難しいかもしれません。惑わされることも多いかもしれません。しかし、その先を見極めてみたいものです。

(豊川市立小坂井中学校長)