(こだま)今、人工知能(AI)の活用が……

今、人工知能(AI)の活用が急速に本格化している。家庭ではAIスピーカーがさまざまな注文や質問に答えてくれるし、AI搭載された自動車は自動運転が現実化しつつある。

『人工知能と経済の未来』の著者・井上智洋氏は、「遅くとも2060年には現在あるほとんどの仕事はAIに取って代わられているだろう」と言う。ちなみに「消滅する可能性の高い職業」は、スーパーなどのレジ係、会計士、受付係などである。知識の詰め込みや計算のスピードでは到底AIにはかなわないということだろう。

教育現場にもAIが浸透してきている。京都市D中学校では英語の授業にAIを搭載したロボットを導入している。担当教諭は「人前では恥ずかしがる生徒たちが、積極的にロボットと会話するようになり、英語の発話量が大幅に増えた。教師の分身が複数いる感覚」とその効果を実感している。

三重県の児童相談所では子供の虐待防止にAIを活用するという。過去に起きた約5000件の虐待に関するデータと子供の生活状況やけがの部位などの判断材料を端末に入力し、照らし合わせる。それによって虐待が再び起きる確率などをAIがはじき出し、子供を一時保護するかどうかの判断に役立てる仕組みだ。

文部科学省では、本年度からAIなどの最先端技術を利用した教育の実証実験(エドテック)を始めた。一人の教師が多数の生徒を教える一斉授業では、理解が追い付かない生徒に対して個別に適切な対応をすることは容易ではない。そこで、生徒たちの解答やテスト結果を集めビッグデータ化し、それをAIが分析して個々の生徒にふさわしい指導法を導くというものだ。

教師は「消滅する可能性の高い職業」にあがっていないが、そもそもAIと学校教育の相性はよい。思春期特有の悩みや物事の善悪といった子供の心に関することは「まだ」人間の教師に任せた方がよいだろう。要はそれぞれの得意技を生かして最良の教育を生み出すことだ。