私を支えた「この一冊」 詞集たいまつⅠ

むのたけじ 著
評論社

……われを失うほどの窮境におかれても「はい」と「いいえ」は決してまちがえて発音しない、そんな口をもちたい。

範読に続いて、生徒が一斉に声をそろえる。範読をするのは、長髪の国語教師。その横顔にエンディング曲が重なる。そう、この詞に出合ったのは、某学園ドラマだった。エンドロールに出てきた書名と著者を必死にメモし、探した。

この詞集、どの詞も、強い。著者が、自らの命をちぎっては読者に投げてくるようだ。いずれも一球入魂の全力投球で剛速球。教員を目指すはるか前に手に入れた本だが、いまだに、時折、本を開き、刺激をもらっている。

困難や、先の見通せない闇で立ちすくむとき、行く手を力強く照らす、まさに「たいまつ」となる珠玉の1冊である。

(中嶋孝佳・新城市立東郷中学校長)

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