(提言)「わけ合う」を伝えたい

三河小中学校長会長 天野 明典

うばい合えば 足らぬ/わけ合えば あまる/うばい合えば あらそい/わけ合えば やすらぎ/うばい合えば にくしみ/わけ合えば よろこび/うばい合えば 不満/わけ合えば 感謝/うばい合えば 戦争/わけ合えば 平和/うばい合えば 地獄/わけ合えば 極楽 (相田みつを)

100年に一度という「新型コロナウイルス禍」の中で、さまざまな報道がされている。子供たちは、それらの情報や実際に自分たちの目や耳で見聞きしたことに影響を受けて成長している。私たち大人の行動から何を感じ、何を学んでいるのだろう。

令和元年度の卒業式は、私の勤務する中学校でも卒業生と保護者・教職員のみの寂しいものとなった。在校生が行う送辞もなかったが、その代わりに3年の学年主任が思いを熱く語った。送別の歌は、マスクを教職員全員が付け、思いを込めて歌った。

在校生がいない卒業式は、卒業生にとって残念だったに違いない。しかし、教職員の卒業の喜びをわけ合いたい気持ちは感じ取ってくれたと思っている。

感染予防のためにマスク需要が高まり、店頭から消える中で、マスクを寄贈する報道や、手作りしたマスクを感謝して使う報道は、子供たちの心を温め、幸せな気持ちにしてくれたと思う。

一方、マスクを高額転売する報道もあった。ウイルス感染の最前線で闘っている医療従事者のマスクさえ足りないときである。このため、ネット販売の表示を消すなどの対策が行われ、最後には転売禁止の政令が出された。

「需要と供給のバランスで物の値段が変化する」ことを学べることとは別である。子供たちが「買い占めて高額転売する儲け方がある」「自分の儲けを優先することが大切」などのメッセージとして受け取ったとしたら、いつになっても平和な世の中にはならない。

経済最優先で、物質的に豊かな生活を目指す「うばい合う」社会から、精神的に豊かな生活を目指す「わけ合う」社会への転換が必要だと言われているが、なかなか進まない。幸せな生活を送ることはみんなの願いである。幸せを独り占めするのではなく、みんなでわけ合うことが本当の幸せだと思う。

100年に一度の「禍」を通して、「わけ合う」ことの大切さを、未来を担う子供たちに伝えたい。

(豊田市立朝日丘中学校長)

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