(読者の窓)マスクのせい

6月、学校が再開して間もない頃、職員室に一人の来訪者がありました。私は「おはようございます」とあいさつをして、訪問の用件を聞きました。

しばらくすると相手の方が急に「あれっ、あんたかあ」と驚き、私も「あっ、○○先生じゃないですか」と。「マスクのせいで分からんかったわあ」とほほ笑むその方は、20年以上前に中学校勤務していた頃、大変お世話になった先生だったのです。久しぶりに再会した恩人のお顔に気付かなかった自分を恥ずかしく思いました。

学校再開と同時に、コロナ対策に神経を擦り減らしながらの授業が始まりました。1週間が過ぎ、私は、担当している授業が思うように展開していないと感じていました。

当初、8年ぶりの理科の授業というブランクの大きさのせいだと思っていましたが、2週間目に入って原因が分かりました。児童の名前と顔が覚えられない…。

マスクで顔の半分近くが隠れていることが、こんなにも授業に影響があるとは思いませんでした。教師として、児童の表情をつかむことがいかに大切であるか思い知らされました。

一方で、私の表情が児童に伝わっていないことも大きな課題です。身ぶり手ぶりで、表情の乏しさを補うよう心掛けました。

本校の先生たちはマスクのせいにすることなく、児童との関係を良好に保ちながら日々がんばっています。マスクをはずし、笑顔が見える形で授業を進められる日が、一日も早く訪れることを願っています。

(杉浦博克・知立市立知立西小学校教頭)

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