(読者の窓)エール

新型コロナウイルス感染症の影響は世界中に混乱を招いた。わが国も例外ではなく、教育現場も前例のない数多くの対応を余儀なくされた。在校生のいない卒業式から始まり、3カ月にも及ぶ臨時休業期間、そして夏休みの半減など、どれも経験のない出来事の繰り返しだった。

そのようなコロナ禍の中でも、生徒たちには下を向かず、希望を抱いてしっかりと前を向いてほしいと、PTA会長と教頭である私は、どちらからともなく「コロナ de mo エール」の企画を役員会で提案した。反対する保護者は一人もいなかった。無論、職員会議もすんなりと通った。

8月最終日の給食の時間。生徒たちには、棒付きみかんアイスが保護者から手渡され、担任からは1枚のプリントが配付された。プリントには、匿名で、100名以上にも及ぶ保護者から生徒たちにあてたメッセージ(エール)が綴られていた。「人生で無駄なことは1つもない。コロナ禍での中学生活は、必ずあなたたちにとって人生の大きな糧になる」など…。保護者の負担を考慮し、義務とせず、文字数も50字程度、生徒へのサプライズ企画としたいため、保護者への実施要領の告知をメール配信で行い、メッセージは学校のメールアドレスで受け付けた。また、その日のお昼の放送では、保護者代表からの心温まるスピーチも述べられた。

翌日、生徒の生活日記には大人への感謝の気持ちがたくさん綴られていた。教頭だからこそできるコロナ禍での挑戦は、夏の終わりの生徒たちと保護者、教職員の深い絆づくりとなった。

(石橋一美・豊橋市立東部中学校教頭)