(こだま)『鬼滅の刃』とコロナ……

『鬼滅の刃』の勢いが止まらない。コミックスの累計発行部数が1億部を突破し、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』はコロナ禍にありながら、興行収入が324億円に達し、『千と千尋の神隠し』を抜いて国内上映映画の歴代1位となった。

なぜこれほど人を惹きつけるのか、と遅ればせながら原作コミックに目を通してみた。人食い鬼に家族を殺された主人公・竈門炭治郎が、鬼にされてしまった妹・禰豆子を人間に戻し、鬼を退治するため、「鬼殺隊」の一員となり、修行を重ねながら強い鬼を倒していく物語だ。鬼滅ファンは、ストーリーがスピーディーで分かりやすい。登場人物のキャラが濃く魅力的で喜怒哀楽がストレートに伝わり感情移入がしやすいと言うが、残酷シーンも多く、その魅力があまり伝わってこないのは歳のせいか。

「鬼」と言えば、三河地方には古くから「鬼」にまつわるお祭りがいくつか継承されている。「花祭」は、北設楽郡等に700年以上にわたって伝承される霜月神楽の総称である。「てーほへてほへ」の掛け声とともに、少年の舞、青年の舞、巨大な鬼面を付けた鬼の舞などが夜通し行われる。近年は少子化・過疎化のあおりを受けて閉ざす地区もあると聞く。

岡崎市・滝山寺の「鬼まつり」は、鎌倉時代から続く天下泰平・五穀豊穣を祈って行われる祭だ。祖父面・祖母面・孫面を付けた鬼が燃え盛る炎の中から鏡餅を持って登場するが、彼らは邪鬼を払う鬼神とされている。

「豊橋鬼祭」は、毎年節分の頃、安久美神戸神明社で行われる。荒神である赤鬼を天狗が退散させ天下を清める様子を具現化した「赤鬼と天狗のからかい」や赤鬼が撒き散らすタンキリ飴の真っ白な飴粉が知られている。これらは、三河路の春を呼ぶ天下の奇祭だ。「三密」を避けるとなると難しいが、ぜひ機会があればお出かけになられたらいかがか。

今、新型コロナウイルスという「鬼」がまん延している。炭治郎の「全集中の呼吸」で鬼退治とはいかぬものか。