対話的な活動を進めて
本校は明治5年の創立以来、令和2年で148年を迎えた伝統校である。学区は、尾張藩所縁の建中寺や多くの寺院、区役所・警察署・消防署などの官公署がある落ち着いた住宅街である。

本校の南門横に石碑がある。創立間もない時期の卒業生で、後に大谷大学初代学長を務めた哲学者・宗教家の清澤満之をたたえたものである。
変化の激しい明治初期を自ら貪欲に学び、真剣に考え、生涯を駆け抜けた清澤満之。
現在の児童にも満之の学びに対する姿勢を受け継いでほしいと願い、本校では、名古屋市教育委員会が提唱する「なかまなビジョン」の考え方に基づいた指導を展開して「主体的に学ぶ児童の育成」を目指している。
▼2年生の実践より
昨年度は、全学年において、児童の興味関心を高める導入部の工夫を研究した。展開部に焦点を当てた今年度、2年生では、算数科『図を使って考えよう』において、図を活用することで差し引きいくら増えたのか、児童が自分なりの考えをもつことができるように指導を進めた。
導入部で児童は「子供が12人いた。そこへ6人来た。その後4人帰った。子供は何人になったか」というめあてを動作化しながらつかんだ。
展開部では人数の変化(増減の経過)を図で表すことに取り組んだ。図の表現に込めた自分の考えを対話して交流することにより、最終的には学級全体で考えを共有し、問題解決につなげていた。
図の表現に込めた自らの考えを分かってもらおうと主体的に対話する姿が見られた。
▼6年生の実践より
体育科『ソフトバレーボール』で、分析シートを活用し、チームのボールの返し方の傾向を読み取り、得点につながる攻め方を主体的に考えることができるように指導を進めた。
分析シートはコートを9分割した用紙で、試合ごとに(1)得点できなかった返球地点(2)ノータッチで得点した地点(3)タッチされたが得点した地点を記録したものである。
児童は、試合開始前の作戦タイムで分析シートを見ながら、チームの返球傾向を把握し、相手コートのどこに返球すると得点の可能性が高まるのかを積極的に話し合い、作戦を立ててゲームに臨んでいた。
分析シートに記された自チームの返球や得点の傾向が分かりやすく、自ら得点につながる攻め方を考える児童の姿が随所に見られた。
▼まとめ
『ごんぎつね』・4年では「ごんの表情カード」を使い登場人物の気持ちを読み取った。1年の『長さ比べ』ではリンゴの皮むきに見立てて紙をちぎり、長さを比べる活動を通して長さを比べる3つのポイントを学んだ。
このように展開部の指導に一工夫凝らすことにより、「なかまなビジョン」にある対話的な活動を進めている。その結果、児童が自らの考えを主体的に発表する姿が従来と比べて多く見られるようになってきている。大先輩清澤満之のように主体的に学ぶ児童を目指し、今後も粘り強く実践を進めていきたいと思う。
(文責・宮嶋勲校長)
本校/℡052(935)2931、URL