管理職研修「審査論文をどう書くか」(98)

昨今、コロナウイルス感染拡大による学校への影響は多大なものがあり、児童生徒の命を守る安全の確保は、保護者をはじめ全ての人々の願いとなっています。しかし、児童生徒が事件や事故に巻き込まれたり、災害に遭遇したりする事例は後を絶ちません。あなたは教頭として、学校の安全教育についてどのように取り組みますか。


2019・20年度は、「新型コロナウイルス感染症」の拡大予防対策に追われた。未経験の出来事への対応に多くの時間を費やし、学校は冷静な対応を迫られた。また、学校が再開してからも、事件・事故は後を絶たない。安全教育は喫緊の課題である。子供にとって「楽しい学校」、保護者によって「通わせたい学校」にするためには、校長・教頭の管理職が中心となって、安全教育を推進していかなくてはならない。

安全教育への課題は山積している。その現状を認識し、教頭として、どう取り組み、改善していくのかを①教職員の意識の高揚、②子供の危機管理能力の育成、③地域・関係機関との連携、の三つの視点から具体例を入れながら述べていく。

▼はじめに

大切な子供が危険な思いをする事件・事故が後を絶たない。校外学習や部活動での熱中症、休み時間の遊具でのけが、下校時の不審者との遭遇など、いつ、どこで、何が起きるのか分からない。また、昨年度からの感染症対策のように、想定外のことにも的確な判断が要求される。安全管理への対応は、より複雑になっており、また、今日ほど安全教育の重要性が叫ばれているときはない。

そこで、教頭として校長の意をくみながら、教職員、子供、地域や関係機関を視点に、具体的な対策に取り組んでいく。

▼教職員の危機意識を高める研修の充実

学校での子供の安全を保障するのは、教職員の責務である。各学校では、「学校安全計画」や「危機管理マニュアル」が作成されているが、形骸化していることも少なからずある。そこで、年度当初に全教職員で、危機管理の見直しを行う。既存のものに頼らず、新鮮な目で現場を見ながら検証することで、実態に沿ったものに変える。全教職員で行うことで、同じスタンスで危機管理にあたる礎も築くことができる。

また、さまざまな場面を想定した訓練年間計画を、教頭を中心に安全担当者と作成する。例として避難訓練を挙げる。1回目は、安全計画に従った基本通りの避難をするが、2回目は想定外のことが起きた避難訓練を計画する。避難経路がふさがれていれば、教職員には子供の安全を第一に考えた瞬時の判断が要求される。実施後は問題点を改善し、生かしていく。さらに、消火器や消火栓のホースを使用して、実際に消火するような体験も加えて、有事にも冷静に判断できる教職員を育てていく。

▼子供自身の危機管理能力の育成

事件や事故は、教職員のいないところでも起こる。子供に「自分の身は自分で守る」という意識を育てなくてはならない。そのために、教務主任や特別活動主任、総合主任などと連携し、カリキュラムマネジメントを考える。

具体的には、学級活動の時間を中心とした生活安全・交通安全・災害安全に特化した学校全体での安全教育カリキュラムを作成する。発達段階を考慮しながら、年間5時間程度を充てれば、小学校では、卒業までに30時間程度の学習ができる。ここでは「自分ならどうするか」という判断力を大事にする。「コロナ禍で密を避けながら楽しく遊ぶには」「困っているような見知らぬ大人に道を聞かれたら」など、正答のないような場面でも、子供なりの判断ができるように安全教育に力を注ぐ。

さらに、児童会担当者に、子供の力で安全にかかわる集会を企画させたり、廊下や踊り場の掲示物を考えさせたりすることで、子供同士で安全を意識できるよう配慮する。これらのことから、危機管理能力を高めていく。

▼地域や関係機関とつくる安全体制

学校運営には地域との協働・連携が不可欠である。「地域の子供は地域で守る」という意識を定着させる。登下校の様子や、不審者の情報、自然災害の状況など、気になることは連絡してもらい、一緒に対応策を考える。地域との連携を深めるには、まずは学校側が情報を提供することである。ホームページ、学校通信はもとより、地域の人に学校を見てもらう機会を多くする。協力者を募り、学校と地域の思いを一つにした組織を構築すれば、安全への意識のさらなる高揚も期待できる。

また、児童相談所や警察、消防など関係諸機関とも情報交換を密にしながら、多方面からの助言を仰ぎ、安全体制をより強固にしていく。

▼おわりに

学校の安全教育は、今後さらに、多様化・複雑化すると予想される。一人の力では心もとない。「チーム学校」として、教職員だけでなく、より多くの手を借りて、安全教育にまい進していく。そして、校長のリーダーシップに沿いながら、教頭として「子供の命は絶対に守る」ことを念頭に、学校ができることを常に考え、積極的に実践していく所存である。