(提言)探求と創造をめざす教育

岡崎市校長会長 和田 実

「音楽が計算して作られていて飽きることなく聴くことができました」「作品を聴いて、打楽器をいろいろ使ってかっこいいと思いました」「間奏を入れて、印象に残る曲を作りたいです」3人の生徒の感想は、12月に行われた音楽科の創作の授業でA君の作品を鑑賞した際の感想である。

岡崎版GIGAスクール構想により8月下旬には、市内中学生全員にタブレット・iPadが貸与された。多くのアプリがインストールされている中にヤマハが開発した音楽アプリ「ボーカロイド教育版Ⅱ」がある。創作のためのアプリであり、音楽の基本的な知識がなくても、直感的に曲を創作できるようになっている。このアプリを使った授業での生徒たちの感想であった。今までの音楽科の授業では表現領域の歌唱活動や器楽活動が授業の大半を占めていた。コロナ禍の影響により、歌やリコーダーはリスクの高い学習活動となり従前のような音楽活動ができないもどかしさをほとんどの音楽教員は感じていることであろう。そのような中、ボーカロイド教育版Ⅱにより創作活動の新しい可能性の扉が開かれた思いである。

音楽科の表現活動では、技能習得が必要となる。ボーカロイドは表現や再現する技能を必要とせず、生徒は自らの感性や創造性を解き放つことが可能となる。前出の感想に上がったA君は、どちらかといえば歌唱に苦手意識をもっていた生徒であった。出来上がった曲は、多くの級友を感動させた。A君はこの曲を作るにあたり自分の聴きなじんできた音楽を基に、ワクワクしながら探求し創作へ結び付けていったのであろう。探求と創造に「ワクワク」「ドキドキ」を加えた知の創造性を育む「STEAM教育」の姿がそこにある。「STEAM」とはScience,Technology,Engineering,Art,Mathematicsの頭文字を組み合わせた造語でこれからの学びとなる教育となる。

芸術教科である音楽科や美術科は、創作を核としてこれからの教育を担うに必要な存在となる。タブレットを活用し子供とともに、ワクワクしながら探求・創造の学びを目指してほしい。

(岡崎市立南中学校長)