自己有用感が高まる福中生を目指して 西尾市立福地中学校

「授業で大切にしたい3つの手だて」を取り入れ

▼育てたい生徒像

自己有用感とは、「他者から必要とされたり、他者の役に立てたりしたという感情」のことであり、他者との関わりの中で育まれると考える。本校では、自己有用感の高い生徒は、共通して「進んで課題解決に取り組む」「積極的に仲間と関わる」「仲間とともに考えを深める喜びを感じている」という特長があると分析した。そして、その特長を伸ばすことで、自己有用感を高められると考え、3つの手だてを講じた授業づくりを行うこととした。1年国語科「作品の続きを書こう―少年の日の思い出―」の実践例をもとに、講じた手だてとその有効性を述べる。

互いの読み取りを伝え合う場面

▼生徒が進んで解決したくなる課題の設定(手だて①)

『少年の日の思い出』は、「私」の客である「僕」が少年時代の苦い思い出を語り、その語りを「私」が語り直すという設定となっている。また、現在から過去へと場面が展開した後、現在の場面に戻ることのないまま終わりを迎えるという構造上の特徴がある。

初めて物語を読んだ生徒たちは、「物語には書かれていない現在で、客と私はどんなやりとりをしたのか気になる」と、物語の不自然な構造に興味を示した。そして、感想を交流する中で、学級全体に「作品の続きを書いてみたい」という思いが芽生えた。そこで、この生徒の思いを見取り、単元の中心課題を「作品の続きを書こう」と設定した。この生徒の思考に寄り添った課題設定により、進んで課題解決に向かう生徒の姿を表出することができた。

▼仲間と積極的に関わりを生むための揺さぶりと板書(手だて②)

物語を読み進めていくと、生徒の読みにずれが生じていることに教師は気付いた。そこで、「僕はエーミールに対して本当にすまないと思っているのか」と揺さぶりをかけ、「ちょうを粉々につぶした僕の心情」を焦点化して、意見交流を行った。また、生徒のネームプレートを使い、対立する意見を構造的に板書することで、生徒の関わりを加速させた。授業では、本文の言葉を根拠に自分の考えを伝えたり、相手に対する疑問や意見を質問したりするなど、積極的に関わり合う姿が見られた。

▼仲間とともに考えを深める喜びを感じさせる振り返りの工夫(手だて③)

意見交流後の振り返りの場面では、仲間の名前を入れて書くように指示するとともに、それを発表する時間を設けた。

生徒Aは「ちょうを粉々にしたのは悔しさからではないかというBさんの意見に賛成です。最初、自分に罰を与える行動だと思っていたけど、今は、出来事へのやりきれなさや強い憎しみがそうさせたのかもと考えました」と発表した。また、生徒Aの学びに影響を与えた生徒Bは、「私の考えをもとに意見を言ってくれてうれしかった」と語った。このように仲間を意識した振り返りを行うことにより、生徒たちは、共に考えを深める喜びを感じることができた。

▼今後の課題

・意見交流の前にいかに個の追究を充実させ、質の高い関わり合いを生む。

・関わり合いを加速させるために有効な揺さぶりを分析して分類していく。

・教科の特性に合わせた構造的な板書を模索していく。

(沖田民男校長、文責・原田崇史教諭)

本校/℡0563(56)2466。URL