(読者の窓)学びを拓く

愛知県が誇る藤井聡太二冠のコメントには、いつもわくわくさせられる。昨年7月に初タイトルを得た後、「コロナ禍で対局ができない間は、過去の対局の振り返りをしていました」と語っていた。

新学習指導要領が小学校で全面実施となった今年度、本校は、今まで十分ではなかった振り返りの指導を重点指導項目の一つに据えた。1学期の校長講話では、藤井二冠の言葉を児童に紹介し、振り返りの大切さと、授業での取り組みの強化を伝えた。年度末の今、確かな手応えを感じている。

平昌冬季五輪が開催された年の夏、ある校長先生が、信州大学教育学部附属小学校の校長先生とのやり取りを紹介してくれた。

「何年も前に非常に優れた教育実習生がいた。彼女は、1日の振り返りを事細かに記録し続けていた。『それがこのノートです。この子にこそ教師になってほしかった…』と分厚いノートを手渡された。開いてみると、その日の学びの分析がびっしり書き込まれていた。すさまじい迫力である。ひょいとノートをひっくり返すと、裏表紙に名前が見えた。小平奈緒。スピードスケート金メダリスト、その人であった。」

主体的・対話的で深い学びを実現するためには振り返りが鍵になると考えている。学びを価値付け、自己の可能性に気付かせる営みの重要性は、前述の二人のエピソードからもよく分かるのではないか。「振り返りで学びを拓く」。こんなことを児童や教職員に語りながら、教育活動を進めている。

(髙井芳恵・一宮市立奥小学校長)