管理職研修「審査論文をどう書くか」(99)

栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、食品ロスなど、児童生徒の食に関する問題が拡大しています。平成17年の食育基本法成立以来、学校教育における食育の推進は大きな課題となっています。あなたは教頭として、家庭との連携を含めて食育をどのように推進していきますか。


審査論文では、題意を的確に捉えるとともに、文科省をはじめとした国の動向を鑑みながら子供たちの姿や地域・学校の実情をもとに、求められている内容について「教頭として」具体的に述べる必要がある。

本テーマは、家庭との連携を含めた食育の推進について述べることを求めている。このことから平成17年6月に成立した食育基本法の理念及び、平成31年3月に文科省が発行した「食に関する指導の手引」の内容を踏まえ、論じることがポイントになってくる。

そこで、教頭として食育をどのように推進していくのかを、「組織的な取り組み」「栄養教諭との連携」「家庭・地域への発信」の三つを柱として書き述べていきたい。

▼はじめに

食は、人間が生きていくために欠かすことのできない大切な営みであり、健康な生活を送るためには、健全な食生活が必要不可欠といえる。近年、子供における偏った栄養摂取や不規則な食事、肥満や過度のやせ、生活習慣病の増加、食品ロスなどの食に関する問題が広がっている。

これらの、問題を解決していくためには、学校教育における食育を、家庭や地域と協力し、積極的に取り組んでいくことが重要となる。学校・家庭・地域が連携を密にして子供の食生活の改善に努めていかなければならない。
そこで、教頭として、校長の意をくみ、以下の3点から、食育の推進のための方策を述べる。

▼組織的な取り組み

学校における食育の推進は、その役割を栄養教諭などが一手に担うのではなく、「食に関する指導の全体計画」に従って教職員が一体となって取り組むようにする。

また、「食に関する指導」については、各教科をはじめ、総合的な学習の時間や特別活動、自立活動など、学校の教育活動全体を通して行うことが大切である。

そこで、校内食育推進委員会を位置付ける。食育推進を図る教員を核として、給食指導や肥満などの個別指導をどのように行うのかを明確にする。

「食に関する指導」においては、どの教科で、いつ、誰が、どのように行うのかについて、計画的に進められるようカリキュラムマネジメントに力を入れていく。

例えば、小学校5年生社会科で食料自給率について学ぶ時に、地産地消について触れたり、地元の食材を使った給食の献立を紹介したりする。このように、教科と食育を結び付けることで、子供が食への関心を高め、さらに食文化や食物の生産流通消費に至るまで理解を深め、自分の食生活を見つめ直していけるようにする。

▼栄養教諭との連携

食育の推進は、前述したように教職員全体で行うが、とりわけ学校における食の専門家である栄養教諭との連携を大切にしていく。

給食の時間における食に関する指導は、主に学級担任が行うことが多いが、栄養教諭も各教室を積極的に訪問して、児童の実態把握や個別的な食指導をしたり、地元食材や行事食など特色ある給食を校内放送で情報提供をしたりして食育を進める。

また、栄養教諭に、日頃から給食準備の様子や配膳での衛生的な取り扱い、食事マナーの定着の様子、残食状況などの実態把握に努めるよう依頼する。それにより明らかになった課題に対して、教職員の共通理解のもと、計画的・継続的に解決を図っていく。

また、地元の食文化や食材の情報などを栄養教諭と学級担任が共有することで、学習教材としての活用方法も考えるようにする。

▼家庭・地域への発信

食育の推進は、学校だけで完結するものではなく、家庭及び地域で一丸となって取り組むべき課題である。子供に望ましい食習慣を定着させるためには、家庭や地域への働き掛けや啓発活動が非常に重要となる。

そのために、学校から家庭へ給食だよりをはじめとした食に関する情報提供や啓発活動を積極的に行うことで、保護者が子供の食生活を見直す機会を持てるようにし、食に関する正しい知識を伝えていく。

また、ヘルスメイトをはじめ、地域で活躍している食に関する知識や経験豊かな人材を紹介したり活用したりすることで、家庭・地域への発信を強化し、連携を図っていく。

▼終わりに

人生百年時代と言われるようになった。子供が将来にわたって豊かで健康な生活を送れるようにするためにも、食育の推進は欠かせない。

私は学校の要である教頭として、校長のリーダーシップのもと、子供に生きる力を育み、家庭・地域に信頼される学校を創るために、教育活動の充実に全力で取り組んでいく所存である。