主体的に学び、共に生きる「なごやっ子」の育成を目指して ―名古屋市教育センター研究発表会―

名古屋市教育センターでは、2月16・17日の両日に予定していた令和元、2年度研究発表会を新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止した。発表要項と資料をまとめた研究集録をもとに研究成果を紹介する。

本センターでは、令和元、2年度の2年間、当面する今日的な教育課題などについて、実態を把握し、効果的な指導や対応の在り方などの調査・研究に取り組んできた。

そこで、「主体的に学び、共に生きる『なごやっ子』の育成を目指して」というテーマの下、子供一人一人を大切にした教育の実現に向けて、「プロジェクト型学習・学習評価・多様性・協働」をキーワードに、4分野でテーマを設定し、研究を進めてきた。1年次は、調査研究を中心に実態把握や資料作成などを行い、2年次は、名古屋市立学校(園)における現職教育や授業実践などを通して、研究の成果と課題を明らかにしてきた。

1 プロジェクト型学習の事例研究

(1)研究のねらい

プロジェクト型学習とは、子供一人一人が何に興味や関心があるのか、どのような課題に取り組みたいのかなどを明らかにすることで、子供が見つけた問いを解決できるようにする。そして、自分なりの仕方で探究し、答えにたどり着くことで、「分かった」「できた」を実感し、次の学びへとつなげていくことができるようにする学びである。こうした基本的な考えを学習過程に取り入れることで、受動的な学びから探究的な学びへと転換できるのである。

(2)研究の方法と内容

プロジェクト型学習の基本的な流れや評価の仕方などを調整し、子供一人一人の主体的な学びを実現する「授業デザイン」を作成する。そして、「授業デザイン」を基に授業実践を行い、子供の学びの振り返りやアンケート調査などから成果と課題を明らかした。

2 学習評価を踏まえた授業づくり

(1)研究のねらい

学習指導要領の改訂に伴い、学習評価については、教師が日々の授業の中で、子供の学習状況を適宜把握し、指導の改善を図るとともに、子供が自らの学びを振り返って次の学びに向かうことができるようにするために、その在り方が極めて重要であると示された。つまり学習評価を「成績を付ける営み」としてだけではなく、「子供の資質・能力を育成する営み」として捉え、「指導と評価の一体化」を図る重要性が再確認された。

本研究では、学習評価を教師の指導改善や子供の学習改善につなげていく「学習評価を踏まえた授業づくり」の方策とその具体例を提示することで、自ら進んで学びに向かう「なごやっ子」の姿に迫る。

(2)研究の方法と内容

〇基礎研究

学習評価の基本的な考え方を整理するとともに、学習評価を踏まえた授業づくりに資するために「学習評価資料編」を作成した。

〇実践研究

基礎研究を基に、学習評価を踏まえた授業づくりの実践を行い、その成果と課題を明らかにする。その方策として、「授業づくりシート」と主に主体的に学習に取り組む態度を見取るための「学びの振り返りシート」を作成し、授業実践で活用していく。

3 多様性を認め、共に学び合えるインクルーシブ教育

(1)研究のねらい

ユネスコは、障害のあるなしにかかわらず、全ての児童生徒に対して一人一人の状況に応じた適切な支援をしていくことが、インクルーシブ教育の第一歩としている。本研究では、ユネスコの理念を踏まえ、通常の学級の全ての児童生徒が、互いの多様性を認め、共に学び合うことができるようにするための方法が効果的であるかを検証していく。

(2)研究の方法と内容

・児童生徒が抱える特性や背景などの多様性を互いに肯定的に認め合い、互いに関わり合いをもちながら学び合えるようにするための学級全体への働き掛けの方法。

・発達障害のある児童生徒、その可能性のある児童生徒、日本語指導が必要な児童生徒などの特別な配慮を必要とする児童生徒への個別の支援方法。

これらをさまざまな授業の中で取り入れることで、インクルーシブ教育システムの構築を推進していく。

(1)「インクルーシブ教育」に対する意識調査

(2)「インクルガイドブック」の作成

4 「協働力」を高める学級集団づくり

(1)研究のねらい

超スマート社会において、学校には知識の蓄積に偏るのではなく、児童生徒が対話したり協働したりして学ぶことを通して、社会生活の中で「人と協働して生きていく力」を育てることが求められている。

本研究では、仲間同士が互いの学びを支えながら関わり合う気持ちをもって取り組む力を「協働力」と定義し、学級活動と教科活動を関係付けた教育実践を行う中で、「協働力」を高める学級集団づくりに向けた指導や支援の在り方について迫った。

(2)研究の方法と内容

(1)児童生徒の思いを把握する「協働力シート」

(2)「協働力シート」の回答結果を可視化する「協働力レーダーチャート」

(3)「協働力UPのためのアイデア集」を活用して実践する。

名古屋市では、子供一人一人を大切にした教育の実現に向けて、「個別化・協同化・プロジェクト型学習」をキーワードに、自ら考え、判断し、表現する幅広い学力の育成を進めることや、人権を尊重し多様性を認め合う心と豊かな感性を育むことを教育施策として挙げている。名古屋市教育センターによる2年間の研究・実践が、市内各学校園の教育活動に反映され、「主体的に学び、共に生きる『なごやっ子』の育成」につながっていくことが期待されている。