(提言)愛知県版30周年に思うこと

愛知県教育委員会教育長 長谷川 洋

平成3年4月、教育新聞愛知県版が産声を上げて以来、三十年という月日が流れました。その間、貴紙が果たした愛知の教育への貢献は何物にも代えがたいものであり、衷心より感謝の意を表します。

この三十年の教育の動きは目まぐるしいものがありました。奇しくも平成3年4月、中央教育審議会は「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」を答申しました。

自ら課題を見つけ、自ら学び、考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質・能力、いわゆる「生きる力」の重要性が謳われた時代でした。

そして、教育は「自分探しの旅」を扶ける営みであるとして、自己実現を目指す過程に的確な援助を与えることが教育の使命であるという考え方へ転換します。学校現場では、「学級崩壊」や「不登校」の問題が噴出し、「心の教育」が叫ばれるようになりました。

そして、「家庭・地域の教育力」が求められる中で、学校のスリム化も話題となり、さらに学力低下の不安から「確かな学力の向上」のためのアピール「学びのすすめ」が出されました。今やグローバル化やAⅠなどの技術革新が急速に進み、予測困難な時代の中で、よりよい社会や人生を自ら切り拓いていく力が求められています。小学校の「外国語教育」の導入、「プログラミング教育」の必修化など社会の変化を見据えた新たな学びへと進化しています。

貴紙におかれましては、こうした教育の変遷をつぶさに捉え、公正公平な立場から見識ある情報を提供いただいています。愛知県版では、教育の潮流の中で確かな実践に取り組んでいる教師の生の声を拾い上げ、それを生かすべく広く現場に届けています。喫緊の教育課題への至言を集めた「提言」をはじめ、経験豊富な教師からのメッセージ「教師力・人間力」、県内小中学校の先進的で特色ある研究実践「学校研究紹介」など今に活かせるヒントが満載です。

さて、昨今新型コロナウイルスの感染拡大により正常な学校生活が叶わなくなっています。三密(密閉・密集・密接)を意識して学習や子供たちとの人間関係づくりをしなければならず、現場の教師の「不安と焦り」は頂点に達しています。早く平穏や学校生活が戻ることを祈るばかりです。

「一人の教師は、百の教育改革に勝る」という言葉があります。一人一人の教師の力量を高めることこそが確かな教育の真髄です。貴紙がこれまで教師力向上に寄与してきた実績を生かし、今後とも愛知の教育の道標として県の教育の充実と発展にご尽力いただきますようお願い申し上げます。