(読者の窓)保育要領から

名古屋市立第一幼稚園は、今年創立130年を迎える歴史ある幼稚園です。中には、親子三代第一幼稚園に通園したという子供もいます。

昨年第一幼稚園に園長として赴任して間もなく、先輩から「第一幼稚園には、古い価値ある資料がたくさん残っていて、『昭和22年度(試案)保育要領―幼児教育の手引き―』もあるのよ」と教えていただきました。

『保育要領』は、教育基本法・学校教育法が制定され、幼稚園が学校の一つとされた翌年、当時の文部省で倉橋惣三が委員長となり、幼稚園でも保育所でも家庭でも活かせる幼児教育の手引きとして作成されたものです。恥ずかしいことですが、長年幼児教育に携わりながら初めて読んでみました。

まえがきには「幼児の心身の生長発達に即して、幼児自身の中にあるいろいろのよき芽生えが自然に伸びていくのでなければならない。教師はそうした幼児の活動を誘い促し助け、その成長発達に適した環境をつくることに努めなければならない。そのためには、教師は幼児期の特質をよくわきまえ、ひとりひとりの幼児の実情を十分に知っていなければならない」とあります。

幼児期の発達特質や特質ごとの指導として大切なことなど分かりやすく具体的な言葉で書かれています。その内容は、現在の幼稚園教育要領の内容に通じていると感じました。今コロナ禍の中で、そして新しい時代に応じて変えることもありますが、不変の幼児教育の基本を胸に刻んで保育していきたいと思っています。

(池田紀代美・名古屋市立第一幼稚園長)