(こだま)夜間中学……

NHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」(夜間中学・ひと冬の物語~心よ、壁を越えてゆけ~)を観た。入江陽子さんは夜間中学で27年間教壇に立ち、日本で生きていく力を身に付けようと懸命に学ぶ外国人生徒たちを支え続けている。

様々な事情を抱えた生徒がいる。エチオピアの内戦から逃れてきた女性、ネパールから出稼ぎに来ている若者など、生きていくために言葉を習得したいと切実に考えている。一教員よりも豊富な経験をして生きてきた生徒たちに、日本語のイロハから丁寧に教え、言葉、国籍、文化など、その違いをどう乗り越えていけるのかと、彼らに寄り添っている。

夜間中学は、戦後の混乱期の中で、生活困窮などの理由から教育の機会を奪われた人たちのために昭和20年代初頭に中学校に付設された学校だ。近年では急増する外国籍の生徒が8割を占めている。国は、就学機会の提供を希望する者が多く存在することを踏まえて、平成30年、全ての都道府県に少なくとも1つは夜間中学が設置されるよう閣議決定した。

本県には、県教育・スポーツ振興財団が運営する「中学夜間学級」がある。全国に31校ある夜間中学とは修業年限や授業日数など異なる点もあるが、義務教育未修了者や外国人などの学習機会の確保に大きな役割を果たしている。

山田洋次監督の映画「学校」は夜間中学が舞台だ。先日亡くなった田中邦衛さん演じる「イノさん」という生徒が登場する。入学当初、字も満足に書けなかった彼が、職を転々とし体を壊して死んでしまう。その悲しみの中、級友たちは彼の生涯は幸せだったか、不幸だったかを議論するラストシーン。担任の黒井先生の言葉。「いい授業だった。授業とはクラス全員が汗をかいて作り上げるものだ」。この学校は「生きること」に最も近い学校かもしれない。

入江さんは、「プロフェッショナルとは」と問われ、こう答える。「本当に生徒と向き合い、とことん最善を尽くせる人」と。