(こだま)不登校と学校……

「いじめられ行きたし行けぬ春の雨」ランドセル俳人として知られる小林凜さんは、小中学生時代に壮絶ないじめを受け、ほとんど不登校で過ごした。

不登校の原因はさまざまに指摘されるが、特に悲惨なのはいじめだろう。かつて「どうして学校に行かなきゃいけないの」という問いは不毛であった。学校へ行くことは当たり前であって、疑問に思うことすら意味のないことであった。

そんな中、文部科学省は、2019年10月の通達で、不登校児童生徒に対する基本的な指針を示した。「学校に復帰すること」を目指すのではなく、「社会的な自立を目指すこと」に変更した。換言すれば、それぞれの子供たちが自分に合った居場所で自信をもって成長できる時代へと変化しつつあると言える。

雨宮処凛さんは、著書『学校、行かなきゃいけないの?』(河出書房新社)の中で、自らの中学時代の実体験をもとに、「あなたを大切にしてくれない場所にいてはいけない」、「今、私はこの時期に不登校をしなかったことを悔いている」と言う。その言葉を重く受け止めながらも、教職に携わった者として、心のどこかに学校に戻ってきてほしいと願う気持ちがある。毎日家庭訪問して登校を促し、適応指導教室や保健室の活用にも望みをかけてきた。学校で級友と共に過ごすことこそが全てであり、学校以外の選択肢は考えられなかった。

本紙令和3年2月号で「校内フリースクール」を取り上げた。これまでの校内適応指導教室を発展解消し、新たに誕生したものである。必ずしも通常学級への復帰は目指さず、生徒個々の状況や希望に寄り添うことを旨としている数少ない取り組みである。「なぜ学校に行かなくてはならないのか」の問いに今「正解」を見いだせないでいる。

小林さんが12歳の時、ほうき雲につらさを託して詠んだ句「秋空や憂きことも掃くほうき雲」。不登校は決して恥ずべきではない。命を守る正当防衛だと訴えている。今、学校自体が問われている。

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