【先輩からのとっておきアドバイス】抱え込まず報告・相談を

 Q 昨年転勤した小学校で誰も希望しなかった荒れた高学年の学級の担任を任されてしまいました。子供たちの生活態度も学習態度も非常に悪く、毎日が闘いの日々でした。自身の力不足もあってうまく指導することができず日に日に子供たちとの関係も悪化し学級が崩壊しかけてきました。心身ともに疲れています。もともと子供が好きで教師の道を選んだものの、それだけで務まる仕事ではないことも承知しています。良いアドバイスをお願いします。(T 女性、教師歴12年)

 A 転勤したばかりで高学年の荒れた学級を任されることは非常にご苦労が多いことだとお察し致します。T先生は日々の指導で心身ともにお疲れのようですが何よりも先生の健康が第一です。先生自身が自分の責任だと問題を抱え込まないようにしてください。

 小学校では、学級担任がほぼ全ての授業を行うので学級の状況が外から見えにくいという特性があります。また、学級が落ち着かない状況が見られても他の教員が気付いていない場合や学級担任が責任を感じ一人で対応しようとして「自分の責任だから何とか頑張らないと」や職員の年齢構成から「自分より経験年数が少ない教員ばかりで相談しづらい」などの状況が生まれがちです。しかし、問題の早期改善に向けて、学校全体の問題として「チーム学校」で状況を把握し、指導方針を決め、対応することが不可欠です。まずは、ためらうことなく管理職や養護教諭またはスクールカウンセラーなどに報告・相談することをお勧めします。

 今回は、子供が好きで教師の道を選び、謙虚にご自身の指導力にも目を向けることができているT先生に、私の経験も踏まえ、いくつかの中で特に2点について参考にしていただければと思います。

 ①児童の内面の共感的な理解に努め、児童の意見をまずは受け止めてみましょう。先入観を持たずにその児童の立場で話を聞くことで、内面の理解が深まります。非難的に聞こえる児童の話も本人の困り感を言葉としてうまく伝えられないこともあります。また、児童を褒めるポイントを日頃から見つけられるように心掛けてみてください。担任の温かな気持ちが伝わり、児童との関係性が良好になります。私も若い頃「先生は怒ってばかりだ」と言われ、自分は子供たちの悪い面ばかりを見て、良さを見つけ伸ばすことができていなかったと大いに反省した経験があります。さらに短くても良いので子供と遊ぶなど触れ合う時間を大切にしてみてください。児童の興味や関心、家庭での様子などの情報を知ることも児童の内面理解に大変役立ちます。

 ②児童が主体となる授業づくりをしましょう。学校生活の多くは、授業の時間です。学級崩壊を立て直す要は、授業にあると言っていいでしょう。よくありがちなことは、分からせたいと考えすぎて担任の話が中心の授業になってしまうことです。児童が「分からない」と言った時がチャンスと思い、分からないことから授業を深めることやICTを活用し児童の思考をサポートするなど個別の学習を取り入れるなどして誰もが授業に参加できる工夫をしてみてはどうでしょうか。また、自分の授業を公開することや他の教員の授業を参観し、先輩や同僚から学び、自身の指導法を見直すことも指導力向上のためにとても有効な方法です。

 最後に2点以外に私からT先生にお伝えしたいことは、「自分のつらさ」を誰かに話してみるということです。T先生の周りには必ず先生のつらさを理解してくれる方がいると思います。ぜひ、愚痴でも構いませんから誰かに聞いてみてもらってください。それで解決するわけではありませんが気分が楽になりますよ。私は今でも困った時はそうしています。子供好きのT先生に学級担任として、一日も早く明るい笑顔が戻ってくることを心から願っています。

 (荒河昌吾・岡崎市立大樹寺小学校長)

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