(読者の窓)教師修行

 昨年度、現任校に赴任して以来、『学びひたる』と題した文章を職員向けに配付してきた。教室を巡り、そこで見付けた子どもの学びをA4一枚で記述したものだ。いわゆる校長通信なのだが、授業を見せてくれた先生に宛てた私信でもあり、全職員向けの授業づくりの指針でもある。それだけでなく、何より私自身の教師修行としての意味合いが大きい。

 内容は、教室で生起していた子どもの学びが中心である。授業者では気付かない子どもの姿を、学びの物語として伝えるようにしている。一つ一つの物語に、「深い学びとは」「教科の本質とは」「見方・考え方とは」など、学びの本質に関わるテーマを結び付けていく。午前中に見た授業なら昼休みまでに、午後の授業なら勤務終了までに印刷して配付するように努めている。その日の出来事は、できる限りその日のうちに伝えたい。

 今年度1学期までで発行数は90回となった。このペースを維持するのは、自分にとって結構大変である。それでも継続するのは、まさにそれが自分の教師修行であるからだ。教室を巡回する時、ともすれば管理的な見方に陥ってしまうことがある。先生を評価するのではなく、同じ一人の教師として子どもの学びを見つめる。そうした立ち位置を見失わないために、『学びひたる』を書いているのだ。

 働き方改革が叫ばれる昨今、教師修行という言葉は死語になりつつある。しかし、日本の教育を支えてきた背景に、教師修行の文化があったことは確かなのだと思う。

 (高橋宏滋・岩倉市立岩倉北小学校長)

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