(読者の窓)言葉の力

 教員になりたての頃、授業も学級も部活動も思うようにいかない日々が続いた。そんな時、ふと目に留まったのが、手洗いに掲示してあった一つの詩。相田みつをの「つまづいたおかげで」である。

 つまづいたりころんだりしたおかげで 物事を深く考えるようになりました あやまちや失敗をくり返したおかげで 少しずつだが人のやることを暖かい眼で見られるようになりました…

 苦しみもがいていた心に一筋の光を見たような気になった。何気ない言葉一つで、心が救われることを実感した。

 何年かたったある日、部活動の大会で出かけた中学校の体育館。洗面所に偉人・有名人の言葉が掲示してあった。体育授業や部活動で使う体育館である。思うようにプレーできなかった生徒や試合に負けて悔しい思いをしている生徒が、この言葉を見て心を燃やすであろう言葉が並んでいた。試合に負けて落ち込む生徒にかける言葉の参考になった。

 青春時代ど真ん中の中学生は、苦しみや悲しみ、悩みが多い。友達関係に悩む者、自分自身の弱さに悩む者、勉強が思うようにできなくて悩む者など、本校にもたくさんいる。現在学校のいたるところに、偉人・有名人の言葉が掲示している。心が弱っているときほど、言葉が心に染みわたるものである。そんな中学生がふと心を癒す言葉があればと思っている。

 偉人・有名人の言葉は、生徒の心に自然に染みていく。では、教師の言葉はどうか。教師は言葉で勝負と言われる。言葉の力で生徒の心を動かしたい。

 (前田孝之・一宮市立西成東部中学校長)

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