【先輩からのとっておきアドバイス】学校全体でも話し合う機会を

 Q 給食指導について困っています。全校で「残食0」を目指して取り組んでいます。隣のクラスに負けないようにと子供たちを励まし、昼休みの間食べさせることもありました。私自身「残食0」は生産者への感謝、必要な栄養摂取であり、食育であると信じてきました。しかし、先日保護者から息子は食が細く食べられない、無理に食べさせないでほしいと言われました。給食は楽しい時間でありたいと思うのですが、食育の意味が分からなくなっています。(M・男性・教師歴2年)

 A 教師2年目は、多くのことを吸収でき、教師力が最も伸びる時期です。しかし、全体の流れはつかみかけたものの、まだまだ余裕がなく悩むことも多いと思います。日々、先輩の先生方々の背中を追いながら奮闘している姿が目に浮かびます。特に全校で取り組んでいることに、自分のクラスだけ達成できなく取り残されてしまうことになればと、不安も大きくなります。だから、給食指導について先生が疑問に感じたことを、もう一度じっくり考えるきっかけとなるように、以下のことを参考にされてはいかがでしょうか。

 (1)まず、「残食0」についてです。全校で「残食0」を目指して取り組んでいるということですが、どのような経緯でそれに取り組み始めたのかを知ることが大切です。確かに食品ロスについては、子供たちに考えさせていかなければならないことの一つとなっています。全て食べれば栄養ですが、残せばごみとなってしまいます。しかし、食育をその点だけで判断してよいのでしょうか。つまり、食育の実践が目的ではなく、「残食0」が目的になっていないでしょうか。もう一度、学年の先生や給食主任の先生に「残食0」を目指すことについて相談してください。

 (2)次に食育について考えてみましょう。「あいち食育いきいきプラン2025」では、食育の実践には、「食を通じて健康な体をつくる取組」や「食を通じて環境に優しい暮らしを築く取組」「食を通じて豊かな心を育む取組」とあります。学校給食は、全ての子供たちに平等に食事が提供でき、成長過程に合わせて必要な栄養が取れるように計算されています。よって、全て食べれば栄養のバランスも申し分ありません。また、生産者や給食現場に携わる方々、全ての食材から命をいただいていることへの感謝の気持ちをもたせることもできます。だから、完食指導は有効な手段の一つであるかと思われます。しかし、「食を通じて豊かな心を育む取組」については、どうでしょうか。先生のクラスの子供のように、小食で食べる量が少ない子や苦手な食べ物がある子は、給食がプレッシャーになったり、いじめや不登校の原因になったりすることがあります。食物アレルギーの面でも対応が必要です。また、食べられる子が多く食べることも問題です。満腹まで食べることで、肥満や生活習慣病になるリスクを高めることや一部の子に食べ物を押し付けることにもつながります。

 (3)先生も感じているように、給食をはじめ食べることは、楽しむことが大切です。逆に食べることが苦行になれば、食べることに嫌悪感をもちかねません。今は、コロナ禍により、黙食が実践されています。しかし、会話がなくても、食べることに喜びを感じられる雰囲気をつくるだけでも子供たちは楽しい時間となると思います。給食時間の具体的な指導として、配膳はできるだけ均等にし、配り切ります。(小学校では、多少配分量を調整する)準備を早くし、食べる時間にゆとりをもたせます。今は感染症対策のため行えませんが主食のみ増減して調整させますが、その他の料理はがんばって食べさせます。給食終了時間になったら食べることを止めさせます。従って、最終的には本人の努力に委ねる形となります。

 私は、給食指導に絶対というものはなく、多少曖昧さが付きまとってしまうと思います。学校全体でも給食指導について話し合う機会を設けるといいですね。

 (若杉 徹・安城市立新田小学校長)

 

あなたへのお薦め

 
特集