(提言)新たな当たり前へ・転換

愛知県小中学校長会 副会長 加藤博之

 校長室に若い女性担任がやってきました。明日から生徒が一人オンライン学習をするので学習予定表を届けたいとのことです。予定表には、日付けごとに朝の会から帰りの会までの時間と学習内容、持ち物、課題が丁寧に書かれており、生徒思いの彼女らしいと感心しました。でも、その案は却下としました。

 個別、デジタル、オンラインなど、これまでとは対極ともいえる教育活動が重視されるようになりました。コロナによって日本が培ってきた教育システムのひずみが浮き彫りにされたことは間違いないでしょうが、これまでの授業や指導、学校の在り方に加えて、時代の要請に対応する学びの多様化と捉えたいと思います。

 「学制」発布とともに義務教育制度が導入され150年。その間、戦後の「教育基本法」「学校教育法」の制定による6・3・3・4制、1970年のいわゆる「46答申」、80年代の「ゆとり教育」など、日本の教育にとっての大きな節目が何度とありました。そして、先人たちのたゆまぬ研究と行動によって時代に応じた教育の形が創り上げられ、つながれてきました。今また新たな節目の時を迎えています。そして遠くない未来、子どもたちはタブレット1つをランドセルに入れて登校するようになるだろうと思っています。

 私たちは、今まさに手持ちの知識と技術とともに、これまでにとらわれない発想と創意工夫が試されている瞬間にあると感じています。そこでは、コロナ禍で新しい生活様式が欠かせなくなったように、多様化する学びにも新たな教育の当たり前への転換が不可欠と考えます。

 先の若い担任の学級では、帰りの会に連絡帳を書くことをやめ、係の生徒が背面黒板に書かれた内容をタブレットで写し学級全員に送信しています。決して目新しくも、大きな取り組みではないと思いますが、常に自分の手で書くことを大事に指導してきた彼女にとっては思い切った決断でした。連絡を書いていた時間は、担任が思いを語ったり、生徒同士の関わり合う時間となっています。最近では朝の会でもタブレットを使うこともあるようです。

 彼女が次はどんな新たな当たり前を見せてくれるか、今日も教室をのぞきに足を運んでいます。

 (豊田市立若園中学校長)

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