【先輩からのとっておきアドバイス】真剣に聞いてもらえるには

 Q 特定の先生の話は聴くけれど、自分の話は聞かないという子供はいませんか?

 学年集会など子供たちの前で話をする機会があります。そんな時、よそ事をしたり、友達とおしゃべりをしたりして話を聞かないことがあります。自分なりに話し方を学び、話す内容も分かりやすく工夫しているにもかかわらず、自分の話は聞かない。一方で、話し方や話す内容は、ごく普通にもかかわらず、子供たちを引きつける先生がいます。どうしたら真剣に話を聞いてくれるようになるのでしょうか。(T 男性、教師歴5年目)

 A T先生も経験を積まれ、学年、時には全校児童生徒の前で話をする機会も増えてきたようですね。話をするからには、子供たちには真剣に話の内容を受け止めてほしいですね。しかし、子供たちにはなかなかその思いが伝わらないこともあります。集中して話を聴く姿勢を育てるのは本当に難しいことだとつくづく思います。

 子供たちを引きつけるものが、話し方や話す内容だけでないということにT先生は気付いているようです。T先生は、子供を引きつけるその先生の普段の子供たちへの接し方を注意してみたことはありますか。授業の様子や休み時間での子供たちへの接し方、言葉の掛け方などを通して、子供たちとの関係が見えてくるのではないでしょうか。

 T先生からの質問を読ませていただいて、かつて一緒に勤務したK先生の姿が思い浮かびました。K先生は常に表情も柔らかく、大きな声を出すこともありません。ただ、K先生が子供たちの前に立つと、自然に子供たちのおしゃべりが止み、視線がK先生の顔に向けられました。K先生の話は短くまとめられていて、伝えたいことがはっきりしていました。また、話し方もユニークで、笑いを交えたものでした。

 K先生は、児童会や生徒指導を担当し、毎朝校門で、登校してくる児童にあいさつをしていました。また、長い休み時間には、学級や学年の枠を越えて、積極的に子供たちの輪の中に入り、一緒に遊んだり、声を掛けたりしており、全校のほぼ全員の子の名前と顔を覚えていました。K先生は他学級、他学年の子とも触れ合う中で、子供たちとの距離を縮め、関係を築いていたのです。

 こうして子供たち同士の人間関係や、学校内外での生活の様子をつかみ、それをもとに子供たちの前で話をしていました。子供たちにとっては、身近な先生に、自分自身に関わる話をされるということで、自然に聴きたいと思えたのだと思います。K先生の姿から、話し方や話す内容はもちろんのこと、子供たちとのよい関係づくりが大切だと教えられました。これは、学級経営や教科指導にもつながることでもあります。

 さて、この質問をいただいたときに、私は本校の職員に「何か助言できることはありますか」と、投げ掛けました。すると、「同じようなことを思った経験がありますよ」と多くの職員が共感し、意見を出してくれました。「子供たちの関心事を探り、そこから話に入るようにしています」「子供たちとの関係作りが基盤、この先生の話なら聞きたいと思わせたい」「子供の目線に立ち、教師自身の失敗談などを入れ、子供たちに共感させる」などの意見を出してくれました。職員と意見交換をする中で、やはり、普段から子供とのより良い関係づくりをすることの大切さを再確認しました。

 T先生の周りにも、質問にあった子供を引きつけることに長けた先生をはじめ、多くの先生方がいらっしゃることと思います。日頃から学級経営や教科指導で困っていること、効果をあげていることなどを語り合い、サポートし合える仲間を探してみましょう。仲間と語り、悩みを共有することで、解決の糸口が見つかり、今後に生かせるように思います。

 (三浦孝裕・豊川市立御津南部小学校長)

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