(読者の窓)つながる…

 私たちは、コロナ禍の外出自粛などによって、自由に人と会えない不便や不安を経験しています。これを解決する手段の一つとして広まったのが、ICTを利用して、リモートで相手の顔を見て声を聞いてやりとりする方法です。移動の時間・経費を節約しながら相手とつながることができるため、かえって便利になったという人もいます。

 一方、ある人類学者がこんなことを書いていました。「視覚と聴覚を使って会話をすると、脳が相手とつながったと認識するが、それを繰り返しても信頼関係を築くことは難しい。同じ場所で同じものを一緒に見聞きしたり行ったりしたときに信頼関係が生まれ、信頼関係のある人とつながったときに初めて安心や幸せを感じる」

 教育界は、昨年度、長期の臨時休業を経験しましたが、子どもたちはスマホなどによって友人とつながっていたと思います。しかし、学校が再開され、実際に友人と声を掛け合ってつながったときの心の感じ方は、スマホでつながっていたときのそれとは違っていたに違いありません。

 急速に拡充しているリモート学習が今後の教育で大きな役割を果たすことは間違いありません。同時に、対面での教育活動も、子どもたちが多くの人と信頼関係を築き、安心や幸せを感じながら学習を進める上で欠かすことができないものです。学校は、両者のバランスを考えながら教育活動を進めるという重要な役割を担っているのだと改めて感じています。

 (平田茂樹・名古屋市立豊国中学校長)

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