管理職研修「審査論文をどう書くか」(103)

新型コロナウイルス感染症の拡大により、学校は感染症の拡大防止への対応に追われています。また、新型コロナウイルス感染症のみならず、児童・生徒の安全を脅かす想定外の事態がいつ起きてもおかしくない状況であり、学校は迅速かつ適切な対応ができるよう対応策を講じる必要があります。そのためには、児童・生徒の命を守るために、教員一人一人の危機管理意識の向上と、危機管理体制の見直しや充実がますます重要となってきます。あなたは教頭として、この状況を踏まえてどのような対応をしますか。あなたのこれまでの経験や実践を踏まえて、具体的に考えを述べなさい。


新型コロナウイルス感染症は、これまでに経験をしたことのない影響を社会全体に及ぼし、学校教育においても安全な教育活動の遂行にさまざまな課題を生じさせた。この想定外の危機にあっても、関係者が連携し力を合わせ「学校で感染拡大をさせない」という共通の目標のもと、危機に対応することで教育活動を継続させてきた。危機管理で大切なことは、想定外を減らすことである。今回のコロナ禍は、想定外の事案においても、全職員が一つの目標に向かって共通認識のもと協力することで、危機に立ち向かうことができることを示す機会となった。

そこで、危機管理体制の充実を目指した教頭としての対応について、以下に具体例を示す。

新型コロナウイルス感染症への対応は、当初、社会全体が手探りの状態であったために、さまざまな混乱が生じた。学校における教育活動の停滞は、その時だけにとどまらず、そこから来る影響が後々まで残ることを実感している。そのため、日々の教育活動は考えられる対策を講じて推進していかなければならない。この感染症への対応を教訓に、今後の危機に備えることは重要である。

想定した事案に対しては、研修やシミュレーション訓練などで対応を確認できるだけでなく、これらの事前の取り組みにより危機管理意識の向上も期待できる。想定外の事案の場合には、全職員が共通認識のもと、一丸となって対応していくことが基本となる。私は、教頭として、さまざまな危機に対応するための学校づくりを校長の指導を仰ぎながら、次のように進めていく。

1 協力できる土壌づくり

危機に直面したときの適切で迅速な対応には、日頃からの学校経営が大きく影響する。職員間で情報を共有し、担任や担当を超えて組織として協力できる職員集団であることが重要である。そのためには、自ら進んで職員とのコミュニケーションを図り、喜びや苦労を共感的に受け止めていきたい。また、日々研さんに努め、最新の教育事情や法規などに対する造詣を深め、職員や保護者などへの情報発信に心掛け、信頼される管理職として教育活動の推進に貢献する。

2 危機管理体制の構築

危機が生じたときには、児童生徒の生命や身体を守るために、迅速かつ適切な対応ができるように、役割分担や情報収集・伝達方法など、全職員での共通理解のもと、各自が適切な行動をとる必要がある。そのために、危機管理にかかる体制については、事前、発生時および事後のそれぞれについて整備しておく必要がある。既に危機管理マニュアルとして作成されている危機事案については、想定されていることであり、マニュアルに基づき対応ができる。しかし、学校を取り巻く安全上の課題は、時代や危機の変化に伴って変わっていくものであり、想定される事案については、柔軟に見直し、随時改訂に心掛けていくことが必要である。

想定外の事案への対応では、予想される危険を明確にして危機を回避できるように危機管理マニュアルの構成を見直し、危機に共通する内容と危険などに応じた内容で整理をすることが必要であると考える。

また、学校だけでなく、家庭や地域、あるいは関係機関などとの連携も必要となる場合もあり、教育委員会との連携も重要である。学校、家庭、地域、関係機関などが、連携・協働できる体制を構築し、それぞれの役割を明確にして学校安全に取り組むことが肝要であり、日頃から関係各所と連絡を取るとともに連携した対応ができるような関係づくりを進めていく。

危機管理の基本となる「危機を未然に防ぐ方策」「危機が生じた時の対応」を明確にしておくことは、どの学校でも必要である。このため、地域の教頭会などでの共通の課題として、具体的な事例に対する対応を分担して知見をまとめたい。

3 危機管理意識の向上

全職員の共通理解を促進するために、職員へ最新の情報を提供するとともに、職員会議などで意見を聞くなどを通して、職員が主体となって考えられるようにする。また、危機管理について、日常的に職員と共通の話題とすることで、危機管理が特別のものではなく、日常の延長線上にあるとの意識を高めていく。そして、普段から職員相互で危機について確認できる職場としていきたい。

備えあれば憂いなし。危機に対し十分な備えをすることで、全ての職員が安心して教育活動を進めることができる。そして、児童生徒も安心して学校で学び、これらの相互作用が優れた教育実践につながっていくと考える。私は、校長の指導を仰ぎながら、安全で信頼される学校を目指し、全職員とともにまい進していく所存である。

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