(提言)目に見えないものを

三河教育研究会会長 岡田 守

 1961年に発足した三河教育研究会は、本年度60周年を迎えました。三河の子どもたちに質の高い教育を保障する、という理念のもと、「三教研」という名称で三河全土に根付き、三河教育の中枢となってきたことは誰もが自負するところです。

 昨年12月に、過去10年間の活動をまとめた『六十周年記念誌』を発刊しました。私にとってこの記念誌の発行は、それ以前の記念誌に目を通し、昭和、平成、令和の三河教育の流れを振り返る絶好の機会となりました。そして、先輩の先生方から脈々と受け継がれてきた伝統を基盤にして、次代に向けてさらに深化充実を図っていかなければならないことを確認することができました。

 記念誌を読みながら、「目に見えるものより、目に見えないものを大切に」という、中学校を卒業するときに恩師からいただいたメッセージを思い出しました。教員になってからずっと気になっていた言葉ですが、なかなか本意はつかめません。ただ、大切にしなければならない「目に見えないもの」を意識したとき、五感を研ぎ澄ませる必要を実感します。活字や写真は目に見えるものです。しかし、その中に先輩方の三河の子どもに対する思いや教育に対する情熱を感じ取ることができます。その感性こそ大切にしなければならないことなのです。目に見えるものを大切にできない人が、目に見えないものを大切にできるはずがありません。目に見えないものを大切にできる人は、目に見えるものも大切にできるはずです。恩師の言葉が、今になって心に響いてきました。

 最近、本校の初任者の記録簿に「今週も小さな変化をたくさん見つける」という記述がありました。「小さな変化」、これこそまさに目に見えないものです。見ようとしなければ見えない「小さな変化」、それを見ようとする初任者の頼もしさを感じ、「小さな変化、っていいね」と声を掛けました。オンラインの有用性が語られる昨今ですが、対面でなければ見えないもの、育たない感性があるような気がしてなりません。

 60周年記念誌の発刊を通して、さまざまなことを考えた2学期でした。

 (北設楽郡東栄町立東栄中学校長)

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