愛知の子供たちの健全な育成を願い、1955年に『子とともに』(愛知県教育振興会発行)が創刊された。2002年に書名を『子とともに ゆう&ゆう』と変えつつ、長きにわたって愛知の家庭教育を陰で支えてきた。

社会が大きく変化し、親の意識や生活様式が多様化する中、家庭教育の重要性が改めて叫ばれている。家庭と学校、地域を結ぶ家庭教育情報誌としての『子とともに ゆう&ゆう』が今年6月号で800号を迎えることとなった。その67年間を追う。
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創刊号の「あとがき」に次のようにある。
「60頁に満たない小雑誌にすぎませんが、この中のどこかに、みな様方のお考えがひそみ、お一人お一人のおっしゃりたいことが述べられているという、いわばPTAの心であり唇でもあるところに本誌の生命が躍動しております。(原文ママ)」
1955年といえば終戦から10年目、戦後復興も軌道に乗りつつある中で、国民の目も家庭教育に向けられ始めてきたころである。愛知県小中学校PTA連絡協議会の組織づくりが活発化し、54年、PTA読本『子とともに』が出版された。これがきっかけとなって、翌年10月、月刊誌『子とともに』が創刊された。
当初、編集は県教委とPTAの主導で行われていたが、1957年から小中学校長会が加わり、63年から「子とともに専門委員会」が組織化され、校長会文教委員がこれに参加することで、内容・普及ともに飛躍的に伸展することになった。
2002年、書名をより親しみやすく『子とともに ゆう&ゆう』として全面刷新した。「ゆう&ゆう」には、「ゆたかな心で うるおいのある家庭を ゆめをもち うれしい日々の中で成長する子に」という願いが込められている。
以来、本年6月号をもって800号に至る。一つの県で半世紀以上にわたって継続刊行されている家庭教育誌は、全国的に見ても稀有なものである。
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『子とともに』は、この67年間、常に教育・家庭の問題を鋭く取り上げてきた。
●1957年12月号
「わが子の就職と進学」
●1969年8月号
「モヤシッ子を鍛える遊び」
●1983年9月号
「非行の芽はこんなところに」
●1984年11月号
「いじめが社会問題化」
●1989年11月号
「心の問題を抱える子どもが急増―今、保健室では」
●1990年9月号
「登校拒否を考える」
●2005年6月号
「便利でヤッカイな携帯電話」
●2014年9月号
「徹底!わが家の防災意識」
また、家庭教育だけでなく、社会の大きな話題も積極的に取り上げた。
●1958年1月号
「人類最初の人工衛星が打ち上げられて」
●1959年11月号
「特報で伊勢湾台風の惨状を報告」
●1961年6月号
「車の需要が増え、交通事故が深刻化」
●1964年9月号
「東京オリンピックに期待集中」
●1965年12月号
「高度経済成長にともなって」
●1969年10月号
「月面着陸成功のニュースは夢を与えた」
●2005年8月号
「愛・地球博の感動を」
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1955年の創刊以来、読み継がれて67年。常にその時代の親と子の心を伝え続けてきた『子とともに ゆう&ゆう』は、節目となる800号を迎えようとしてもなお、創刊号の「あとがき」にある「PTAの心であり唇でもある」という原点を守り続けている。
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「先輩方の思いを受け継ぎ、これからも1号1号、意義あるものを作っていきたい。800号、そして900号、1000号と、愛知が全国に誇るこの小冊子が、いつまでも続き、多くの方に手にしていただけることを願っている」
(『子とともに ゆう&ゆう』編集委員長)
◆『子とともに』創刊・1955年
◆創刊5周年・1959年
「童話あんぎゃ」「講師派遣」開始
◆100号・1964年2月号
「わたしは創刊以来の愛読者」
◆200号・1972年6月号
記念グラビア「目で見る200号の歩み」
◆300号・1980年10月号
記念グラビア「目で見る300号」
◆創刊30周年・1984年12月号
記念特集「目で見る30年の歩み」
◆400号・1989年2月号
記念グラビア「目で見る400号の歩み」
◆創刊40周年・1995年11月号
記念特集「わたしと『家族』」
◆500号・1997年6月号
記念特集「21世紀を生きる子どもたちへ」
◆『子とともに ゆう&ゆう』書名変更・2002年4月号
◆創刊50周年・2004年11月号
記念特集「変わる中で、変わらないもの」
◆600号・2005年10月号
記念ページ「600号を振り返る『子とともに新聞』
◆700号・2014年2月号
記念特集「感動と子どもたち」
◆創刊60周年・2014年11月号
記念特集「変わらないものを見つめて」