管理職研修「審査論文をどう書くか」(104)

児童生徒の体力・運動能力の向上は、生きる力を身に付け、健康的に生活するための基盤となります。その水準は、ピーク時の1985年ころに比べると依然として低く、よく運動する児童生徒とあまり運動しない児童生徒の二極化傾向が顕著です。本県では、近年「全国体力・運動能力調査」において下位を低迷している状態です。あなたは教頭として、体力・運動能力の向上にどのように取り組むか述べなさい。


長引く「感染症対策」の実施が運動時間・量・経験に大きな影響を及ぼしている現状がある。2021年度の全国体力・運動能力、運動習慣などの調査結果では約4割の子供が「運動やスポーツをする時間が減少した」と答えている。

一方、コロナ禍においても「運動やスポーツをする機会が増加した」と3割が回答している。その特徴として「運動やスポーツの大切さを認識しており、体力が高い傾向」が認められたことから、主体的に運動する姿の育成を進めることが期待される。

論題には、このような現状の中での「体力・運動能力向上」について、①「適切な実態把握」②「カリキュラムマネジメント」③「自己管理力の育成」の3点で教頭としてどのように対処するか具体例を示す。

◆はじめに

子供たちの将来を考えた際に「生きる力」や「健康に生活する」ための基盤となる「体力・運動能力の向上」は重要な課題であると考える。学習指導要領では「運動の習慣化につなげ豊かなスポーツライフを継続することができる系統性を踏まえた指導の明確化」と示されている。また、愛知県では、「体力とは、人間が生きるすべての源であり、社会の活気に大きく影響する」と示し、多くの実践事例を紹介している。「体力・運動能力の向上」に向けて、学校教育での取り組みは重要な役割を担っていると考え、3つの視点を挙げ対応や具体策について述べる。

1.適切な実態把握

学校教育の中で実践できることを見つけ出すために、児童生徒の実態把握を行う。21年度は「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」を実施することができた。経年比較は難しいが、現状を把握することは十分行える。平均値との差異ではなく、本校の「強み」と「伸びしろ」に着目し分析する。

さらに、休み時間での活動や教科授業での運動の様子などを広く見取り、実態把握に努める。また、多くの教職員で意識的に見取ることでより多面的な視点で課題を明確化していく。加えて、家庭での外遊びや運動の経験、地域での運動の機会などについて調べ、学校と家庭、地域と共に運動に親しめる機会つくりや取り組みを考え実践する。

2.カリキュラムマネジメント

「体力・運動能力の向上」の鍵を握る一つの要因は二極化の改善だと考える。そのために、誰もが「できる喜びを味わう」場面にこだわり、子供たちが「強み」を自信に「伸びしろ」を励みにできるよう、学校全体がチームとなって取り組めるカリキュラムマネジメントの構築に努める。

①体育科の授業改善。主運動につながる準備・補強運動を工夫し、継続的に取り組む。また、単元内で計測会を設定し、明確な数値として記録を「見える化」することで主体的な取り組みを促進する。

②学校全体での取り組み。学級や学年のチームでの合計到達目標を決め、個々が目標値の達成を目指すことが、チームとしての目標達成につながる仕組みとなるような活動を提案する。この取り組みを通して、教え合える協働的な学びの推進を図る。段階が違えども、「できる」喜びには、違いがない。自分の助言や補助で仲間が「できた」ときの喜びは格別だ。できるようになった満足感や充実感は大きな喜びとなり、「体力・運動能力の向上」への意欲の高まりとなる。

③家庭、地域との連携。学習したことを実社会で生かし、運動を習慣化することは、生涯にわたり豊かなスポーツライフの実現を目指すことにつながる。家族と実践できるストレッチや体幹トレーニングの紹介や啓発をしたり、体育的学校行事を通じて地域と関わったりすることで、共に運動する機会の確保に取り組む。

3.自己管理力の育成

「体力・運動能力の向上」に不可欠なことは、自らの体力や健康に関心をもち、管理していく力である。個人記録カードを作成し奇数月には「体力・運動能力」調査を実施、結果を数値で残す。身体の成長や運動時間・量などに着目して振り返り分析することで、運動への取り組み方を考える機会を作る。
さらには、身体の成り立ちや心と体のつながり、運動と健康増進の関係などを中心とした健康教育の充実を図る。「個人記録カード」の結果を基に、学んだ知識と健康状態や運動の必要性とを関連付けて「健康な生活」を送るための行動を考え、子供たちが自己管理できる力の育成に尽力する。

◆おわりに

子供が生涯にわたって豊かで健康な生活を送れるようにするために「体力・運動能力の向上」は重要である。学校の果たすべき役割の大きさを自覚し、前述3点の取り組みを推進していく。

私は教頭として、子供たちの健やかな成長を願い、教職員と一致団結し、家庭・地域と連携を図りながら教育活動の充実に邁進していく所存である。

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