(読者の窓)小さな水族館

 本校の来賓玄関には、小林龍二さんの写真と、色紙が飾ってある。色紙には、「弱点を武器に」と書いてあり、後輩を激励する言葉となっている。

 小林龍二さんといえば、言わずと知られた蒲郡市の竹島水族館長であり、本校第49回卒業生である。

 新年一冊目の本として、小林館長の著書『驚愕!竹島水族館ドタバタ復活記』を読んでみた。

 彼の頑張りは、教員向けの講演、母校での在校生向けの講演、そして、何よりテレビ、新聞での活躍で、多くのことを知っていたつもりだった。

 あえて水族館で行うカピバラのショー、手書きポップの工夫、深海魚へのこだわり、ユニークな飼育員など、テレビで紹介される明るさの部分を正しい時系列でしっかり知ることができた。

 しかし、この本では、「経営やビジネス手法に光を当てて、まとめた」と彼が言うように、館長になる前の12年の苦労、それを支えた基本的な考え方についても、しっかりと書かれていた。

 若者の手書きポップにはできるだけ手を入れず個性を伸ばすこと、予算運営も「お小遣い制」で一人一人に任せることにより、責任感をもたせ、意欲を伸ばすこと。小林館長の若者を生かすための工夫が随所に見られた。

 さらに注目は、巻末にまとめられている「七つのヒント」である。そこでは、竹島水族館に生まれた課題、まだまだ成長途中であることが分かる。コロナ禍だからこそ我々も、できることを小林館長から学びたいと思う。

 (寺田由雄・蒲郡市立大塚中学校長)

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