日本人学校で奮闘する愛知の先生

 海外に居住する日本人子女は、文科省が管轄する在外教育施設(日本人学校、補習授業校、私立在外教育施設)において、国内で学ぶ子供たちと同等の教育を受けている。教師を派遣している在外教育施設は、日本人学校49か国1地域94校、補習授業校54か国1地域229校、私立在外施設5か国7校にのぼり、愛知県からは33人の先生(内、校長3人)が各国の日本人学校に派遣されている。今、世界中に広がるコロナ禍で、奮闘している愛知の先生を追う。(なお、現在愛知県からは日本人学校にのみ派遣されているので、日本人学校に特化して紹介する)

 日本人学校は一般に現地の日本人会などが主体となって設立され、その運営は日本人会などや進出企業の代表者、保護者の代表などからなる学校運営委員会によって行われている。1956年にタイのバンコクに設立されて以来、現在、日本人学校で学ぶ義務教育段階の子供は14751人に及んでいる。(2021年在外教育施設在籍児童生徒数調査)。

 日本人学校では、原則的に国内の学習指導要領に基づき、教科書も国内で使用されているものが用いられている。また、多くは現地の文化や歴史、地理など、現地に関わる学習や現地校などとの交流を積極的に進めており、ネーティブの講師による英会話や現地語の学習も行われている。

 一方で、景気や政情の変化、進出企業の不振による現地拠点の閉鎖・撤退などが生徒数の激増・激減に直接影響するため、日本人学校の運営は不安定が付きまとうともいわれる。加えて昨今のコロナ禍における教育状況は国内以上の困難さがある。

 派遣教員から送られる近況報告メールからその奮闘ぶりを紹介する。

〇鈴木勲(パリ日本人学校)

 ヨーロッパでは再度新型コロナウイルスの感染が広がっています。いったん収束した現在でも、パリ日本人学校は感染拡大を警戒している状況にあります。そのため、普段の授業や学校行事、受験生への進路指導など、その全てが例年通りに行うことができません。先の状況を見通してさまざまな角度から何度も検討し、誰に対しても責任ある取り組みを行う必要があります。在外教育施設だからこそ当たり前のようにアンテナを高め、日々変化するフランス政府の方針を適切に把握しながら、子供たちの身体と学びを守る、一貫性のある教育活動を意識して実施しています。(11月)

メキシコ日本人学校

〇中野正康(日本メキシコ学院日本コース)

 1年以上の完全オンラインの授業を経て、分散登校、全面再開に至ることができました。学校行事については形式を変えたり中止としたりしながら、臨機応変に取り組んでいます。約1年半、満足な教育活動ができない日々が続いていましたので、今回の全面再開が本当にうれしく、さらに頑張ろうと思っています。(11月)

〇佐藤有(バンコク日本人学校)

 現在、コロナウイルス感染拡大の影響で、タイ政府よりバンコク都がダークレッドゾーンに指定され、教育機関は登校による授業を禁止されています。今年は4月から現在に至るまで在宅学習です。日本のGIGAスクール構想に合わせ、本校でも児童生徒に一人に一台ずつPC端末が配付されたおかげでビデオ会議アプリGoogle Meetを活用した、同時双方向による配信授業も行われています。一日も早くコロナが収束し、学校に子供たちの元気な声が響き渡る日常が戻ってくることを願うばかりです。(9月)

〇北中美郷(香港日本人学校大埔校)

 香港では、5月より全日対面授業が再開しましたが、1月14日から再び休校、オンライン授業となりました。対面授業中は、感染対策のため多くの規制がありましたが、できることを探して工夫しました。香港だけでなく日本の企業ともインターネットでつないで双方向の授業を行うことができるようになったのは大きな成果です。

 現在はオンライン授業でも児童同士が学び合い、意見交換する場面を取り入れることを中心に授業の工夫をしています。(1月)

  • 21年度日本人学校派遣教師一覧(太字は校長)

【19年度~21年度】

溜久美子(広州・中国)佐藤有(バンコク・タイ)百々昌男(カラチ・パキスタン)八木啓司(マドリッド・スペイン)北中美郷(香港大埔・中国)志賀一友(パリ・フランス)西村吉充(メルボルン・オーストラリア)廣田剛(釜山・韓国)伊藤崇憲(北京・中国)鈴木一史(ジャカルタ・インドネシア)髙森彦輝(杭州・中国)

【20年度~22年度】

久保文則(バンコク・タイ)染井紀子(深圳・中国)今城真吾(パナマ・パナマ)岡田惇(ニュージャージー・アメリカ)川本大介(蘇州・中国)青山高視(ナイロビ・ケニア)中野正康(日本メキシコ学院日本コース・メキシコ)登倉光紀(ドーハ・カタール)酒井憲一(シラチャ・タイ)白谷祐史(ロンドン・イギリス)鈴木勲(パリ・フランス)

【21年度~23年度】

伊藤嘉浩(アムステルダム・オランダ)乾健太郎(ワルシャワ・ポーランド)佐藤理恵(深圳・中国)高木由香(シンガポールチャンギ校・シンガポール)岡村尚弥(グアム・アメリカ)伊藤慶(イスタンブール・トルコ)太田尚子(ヨハネスブルグ・南アフリカ)堀内敦(ジッダ・サウジアラビア)安原健児(ジャカルタ・インドネシア)牧野壮平(シラチャ・タイ)都築功二郎(ドーハ・カタール)

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